見出し画像

ウイルス除菌対策としての次亜塩素酸水の活用と作り方

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染力は、当初の予想よりかなり強いことが明らかになってきたが、感染者の体外に出た後の生存期間も長いことが、海外では指摘されている。ドイツの研究チームが新型コロナウイルスに近いSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)のウイルスに関する研究文献(22本)を調べたところでは、最長で9日間も生存する可能性があるとのこと。

効果的な治療法や特効薬が見つからない段階では、手洗いや洗顔をこまめにすることに加えて、人が集まる家庭内、オフィス、店舗のテーブル、手すり、ドアノブなどの除菌作業も重要になってくる。アルコール除菌スプレーは、ネットの通販サイトは品切れ、個人出品サイトではべらぼうに高い価格で取引されている状況だが、それよりも殺菌効果が高いのは「次亜塩素酸」であることが、厚生労働省の医療機関向けQ&Aでも解説されている。

次亜塩素酸水の殺菌効果は、ここ数年で注目されはじめたもので、インフルエンザやノロウイルスの院内感染を防ぐ目的で、クリニックや介護施設を主なターゲットとした商品が開発されるようになっている。

【次亜塩素酸を生成する空気除菌脱臭機】

パナソニックが開発する「ジアイーノ」は、食塩水を電気分解して揮発させた次亜塩素酸を空間に放出する機構の脱臭機で、空気中に飛散しているウイルスを除菌する効果が認められている。パナソニックのサイトによると、18畳の空間でジアイーノ(F-MV4100)を3時間稼働させると、空気中に浮遊するウイルスの90%、12間の稼働で99%を除菌する効果がある。

ジアイーノは除菌できる空間のサイズによって製品の型番が異なるが、実売価格が8~12万円。また、次亜塩素酸を生成する原料として、専用「塩タブレット」や交換用フィルターなどの購入費で、年間7,000円程度のコストがかかる。

【次亜塩素酸水を利用した加湿器】

加湿器によって低濃度の次亜塩素酸水を噴霧することでも、空気中に飛散したインフルエンザウイルスなどの殺菌効果があることも実証されている。ただし、次亜塩素酸水の噴霧には、適正な濃度の管理と専用の加湿器が必要になってくる。

ウォーターサーバー設置による水の宅配サービス「クリクラ」を展開する株式会社ナック(9788)が、2018年10月から新事業として立ち上げているのが、自社製造した次亜塩素酸水溶液「ZiACO(ジアコ)」の宅配サービスである。

クリクラの製造工場では、RO膜処理された原水に低濃度の次亜塩素酸水溶液を生成している。従来の次亜塩素酸水は、プールや風呂場の殺菌に使われる塩素臭が強いのがネックだが、低濃度の次亜塩素酸水は臭気が大幅に低減されていているのが特徴。それを、対塩素仕様の専用加湿器でミスト状に噴霧することで、空気中の殺菌効果が得られるものだ。

ZiACO(ジアコ)の利用体系は、ZiACO水溶液(3Lパウチ×3袋)の定期利用契約(月額4,400円)をすると、専用加湿器は無料でレンタルされる。ただし、室内の空気を次亜塩素酸水で常時殺菌したいようなケースでは、これだけの水量では足りないため、月額数万円のコストを想定しておく必要があるだろう。医療機関のように、大量の次亜塩素酸を必要とする施設では、自前の生成プラントを導入するケースもある。

【次亜塩素酸水を自作する方法】

次亜塩素酸水は除菌、殺菌スプレーとしても市販されているが、300mlボトル1本あたりの価格は1,000円前後と高く、新型コロナウイルスの流行以降は在庫切れになっている店舗が多い。その場合には、家庭にある漂白剤などから自作することも可能だ。

次亜塩素酸水の作り方については、地域の保健所がノロウイルス対策として指導しているが、花王のホームページでも、「キッチンハイター」から次亜塩素酸水を作る方法が解説されている。ドアノブや手すりなどの殺菌に使う場合には、水5リットルに対して50ml(キャップ約2杯)のキッチンハイターを希釈する、嘔吐物や下痢便の殺菌については水1リットルに対して50ml(キャップ約2杯)のキッチンハイターを希釈するのが適量と言われている。

ただし、次亜塩素酸水には、塩素成分による漂白効果があることから、衣類やカーテンに付着すると色落ちの原因になったり、金属に付着しても腐食の原因になりやすいのが欠点でもある。それを理解した上で、効果的に活用していくのが良いだろう。

画像1

■関連情報
インフルエンザ対策に活路を開く、水の宅配市場
感染対策で世界の企業に広がるリモートワーク/在宅勤務

JNEWSはネット草創期の1996年から、海外・国内のビジネス事例を精力的に取材、会員向けレポート(JNEWS LETTER)として配信しています。また、JNEWS会員読者には、副業ビジネスの立ち上げ、独立起業までの相談サポートも行っています。詳細は公式サイトをご覧ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?