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世界が日本を買っている?―まるでコロナ禍がなかったように(中)

どないなってんねん?コロナ禍時代となって4年。まるでコロナ禍がなかったように、みんな、出社している。通勤・通学電車も、昔のように混雑するようになっている

どないなってんねん?

2020年4月の緊急事態宣言から、23年5月のコロナ5類移行の3年間に大きな社会変化が進んだ。2024年1月、まるでコロナ禍がなかったかような都市の風景に戻り、オフィスが人の集まる場所に戻ろうとしている


1 世界が日本を買っている

日本平均株価が高騰している。バブル後34年ぶりに最高値を更新している。さらに高騰して4万円超えの声も出ている。日本企業は復活したのだ、強いんだとの声も出てくる。どないなってんねん?と思う人も多いが

もうええんとちゃうか?
日本はもう大丈夫やろ

と思う人もいる。1989年12月29日のバブル崩壊や2008年9月のリーマンショックで、日本が大変なことになったことを忘れている人がいる。そもそもその事柄を知らない人もいる。また同じ繰り返しをするかもしれないが、かつてとは必ずしも同じではない、文脈・背景が違う

マクロとミクロ。
日本 という大きな主語は、もはや 国民の制御によるものではなくなり、世界的な金融、防衛、サプライチェーンで 、世界プレーヤーになっている
 
反面、日本人民のミクロは、せいぜい30分圏内社会の食うや寝るやの 損得くらいで生活シーンが完結しているので、世界とはつながっていない

だから ミクロな国民にはピンとこないし、マクロはミクロ経済に反映するまでには大きな時差がある。この時差の間で、重要な事柄が進むことがある

では、現在の日本の株価高騰をどう捉えたらいいのか?
まず世界のマネーが有り余っている。行き場のない世界の金がリスクヘッジとして、これまで中国に向いていたマネーが、日本を買っている

明らかにマネートレード。海外投資家や富裕層が円安を受けて、日本株を買っている。それは、株だけでない。固定資産、保険資産にも向かっている。都心のビルやホテルや商業施設などの再開発のマネーは、世界から集められている。では、なぜ行き場のない世界のマネーが日本、東京に向かうのか?

←ドルの値下がり
←イスラエル・パレスチナ紛争の終息
を読んでいる

順番は
イスラエル・パレスチナ終息→ドル安進行→日本株への逃げ込み
だからドルが下がる前に 、円安を活かして日本株を買う

有事には、「ドルが上がり 円は下がる」という方程式がある。だからトランプ大統領再登場で有事が終われば、ドルが下がれば損をする投資家が
安いうちに日本の資産に投資する—ということ。だから、株は上がり、 円は高くなる。円とドル 、為替と株 、日本株式と 米国株式は、やじろべえ のように、入れ替わり立ち替わり

世界のマネーが往き来する

そんななかで日本が買われるのは、日本の総資産が、世界で存在感があるから。日本の企業には、資産はある。その資産に適切な戦略と投資をしたら付加価値をあげ、大きく伸びる可能性があるというポテンシャルが高いと見ている

そのように、日本企業の資産、国の資産は世界から見られているのではないか

©ikenaga-hiroaki

2 技術・道具との向き合い方

人類史は、道具との向き合い方の歴史とも言える。石器、土器、車輪、羅針盤、活版印刷、蒸気機関、コンピュータなど新たに発明された技術、道具との人々の向き合い方の思考錯誤の蓄積の歴史ともいえる
 
では、今、話題の生成AIをどう考えるか?
生成AIが社会を大きく変えるとか、一方、そんなものでは社会は変わらないとか、過度な期待をしてはいけないとかといった様々な議論を巻き起こしている。しかしこれからの社会は、子どものころからスマホを持っていた人たちが前提の時代となり、彼らの生成AIとの人の向き合い方で、社会は変わるのではないか?
 

たとえばコンピューターは
かつては電気計算機、電算機だった。
生成AIも、かつて翻訳機から始まった。
 

50年前40年前のコンピューターは、「電子郵便」「電子メール」とか呼ばれていた。それがeメールとなり、今ではたんにメールとなった。名称変更にとどまらない、手紙やハガキなど郵便の利用量が減った
 
パソコン通信が始まり、携帯電話での電子メールをするようになり、スマホでいつでもどこでもメッセージの受発信ができるようになった。それ以前を経験した人と、それ以前を知らない人とでは、その後の技術・道具との向き合い方がちがってくる
 
道具との向き合い方によって、ビジネススタイル、ライフスタイルは大きく変わる。価値観も、変わる。このように、技術、道具との人の向き合い方の試行錯誤が、人々の行動様式を変えて

社会を変える

3 ワークスタイルの大変革

JR東海が新幹線に乗っている間も勤務時間にするということにした。出張ではない、通常勤務として、新幹線に乗って仕事をしているときも、勤務扱い。この背景には、オンラインミーティング、テレワークが仕事のなかで普通になったからだろう。すごい

時代は大きく変わろうとしている

そのうちに、家でご飯を食べていても、子どもと遊んでいても、勤務時間となるかもしれない。そもそも、仕事の前提だった「勤務時間の概念」が変わろうとしている。何時から何時まで会社にいたかではなく、仕事がどのようにできたのかに、意味があることになろうとしている。テレワーク・オンラインミーティングへのシフトが

とてつもない変化を引き起こそうとしている

若い人は、時間評価から仕事評価へのシフトと、これからワークスタイルはリモートワークになるという可能性を認識している。一方、それが理解できない、そんなの仕事とは言えない、うまくいくわけがないと認めないのは、40代50代が多いだろう

いままで自分が時間管理で給料を貰っていたけど、フリータイムになったら困るというのは、その世代が多い。そう反対するその年代の生産性は、決して高くない
 
生産性を高め、創造性を高めていくためには、時間管理のメンバーシップ型から、フリータイムのジョブ型になるのは必然であり、これから
 
職場にいることで評価されるのではなく
良い仕事をしたかで評価されるようになる

組織が、その人が組織の仕事、目標を達成するために必要か必要でないかで判断するようになる

そして、その評価基準は、その人間が価値があるかどうか?それも、現在価値であり、将来価値ではない。今、仕事をして、良い仕事をしているかどうか?である。至極当たりのことだが、その当たり前が日本の組織のなかでは普通ではなかった

4 日本特殊論

そんなことにしたら、ヨーロッパとかアメリカみたいに、終身雇用がなくなり、いきなり「あなたは来月から首です」と言われたりする、失業率は高くなり、そんな不安定になり、仕事に支障が出て困る、ひいては社会は混乱するという声が噴出するかもしれない

しかしそれでも欧米は、日本より1人当たりのGDPは高い。その事実の方が深刻である。日本は雇用は守られているかもしれないけど、そのおかげで、一人当たりGDPが先進国のなかでも低い国になった

ジョブ型やフリータイムにしたら
会社、社会が不安定になる
暮らしていけなくなる

と反対するけど、世界はどうなんだ。世界はそれでも先進国でいる。変な意味で、日本特殊論がまた復活しつつある。それも日本株価高騰で、1年前と大違いとなっている

 まるでコロナ禍がなかったかのように 

多くの指標で、日本は世界ランキングを落としているのに、日経株価が爆上がりをして、特定企業は利益を上がり、給料も上がっている

自分たちはやっぱりすごいんじゃないか
勘違いしてしまう
 

本当はおかしい、変だと、多くの人は思っている。一人当たりGDPの日本のランキングがさがったのも為替の問題も大きいが、生産性の低さも大きな要因だということを、本当は分かっている。しかし円安となって、輸出型産業は売上、利益を増やしている。その利益を分配して、従業員の賃金をあげる。これは自然なこと。しかしそれ以上に物価があがっているので、生活がよくなった実感がない

逆も然り。輸入品は高くなっている、購入金額があがっている、その分を売価に転嫁できないと、会社の利益が減ってしまう。利益がないと、賃上げをしたいけど、なかなかできない。会社の利益円安の恩恵にあずからない企業、人の負担は大きい

構造的な二極化が拡がっている

これからどうなるかを考えるうえで、現在に埋め込まれている過去と現在と未来の時間軸と構造を読み解く必要がある。コロナ禍前のから進む変化、コロナ禍を契機とした変化と、これからを創り上げる新たな変化の3つの構造を峻別して、これからを見据えないといけない


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