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ページ全体の自動翻訳が可能に。年間65%の利用増のDeepL、問われるのは「何に活用するか?」

ここ数年の技術の進化の中で常に驚かされているものの一つに自動機械翻訳技術があります。特に「DeepL(ディープエル)」というサービスに関しては、その翻訳精度の高さと利便性に関し、以前にも何度か触れたことがあります(*「2021年7月20日」「2021年10月27日」)。今回ご紹介したいのは、昨晩同社のブログ記事Linkedin投稿において静かに公開されていた新機能、特に「ページ全体を翻訳」することが可能になったことについてです。

DeepL社のブログ記事より(2022/5/23)

「ページ全体の自動翻訳」機能がなぜ重要か

ニュースサイトの見出しの概観を眺める際に便利

翻訳ツールはもちろん人によって利活用のシーンが異なるのでどこに「便利さ」を感じるかは異なるとは思います。が、日々多くの英文ニュース記事をチェックする私にとって、とてもありがたい、と感じたのは、ニュースの見出しを「ぱっ」と日本語で俯瞰的に見ることができるようになったことです。
ページ翻訳機能を利用するには有料購読プランに加入することが必要ですが(年払いの場合月額750円)、まるで日本版サイトが新しく生まれたようです。今までは必要な際に都度クリックをして翻訳するという「作業」が必要でした。そうした工程ががなく、自然にページの概要を掴むことができる点、今までにない新しい体験でした。

Financial Timesのトップページを自動翻訳した際のイメージ

英語での投稿が多いSNSやチャットサービスの閲覧

もう一点、新しい使い方として考えられるのは、Linkedin、Twitter、Slack等、英語での投稿が多いSNSやチャットサービスを閲覧する際の利用です。ページそのものの言語設定をまず「英語」にしておくことで、ページ全体が瞬時にして日本語化され、気になる見出し、単語、センテンスを素早く見つけることが可能になります。またチャットへの返信やコメントを書く際にもリアルタイムで英語を日本語に翻訳することが可能です(逆に日本語で書いてリアルタイムに英語化することもデスクトップアプリ等を利用すれば簡単にできます)。

英語での情報発信、ブログ、ニュースレター作成

私は今月始めに気候変動・脱炭素に関する日本関連のニュースを毎週まとめて配信するニュースレターを英語でスタートしました

スタートした際には今回実装されたページ翻訳機能はなかったのですが、今後ますますこうした慣れない英語での発信がしやすくなったと感じます。うまく文章が作成できない場合にはパラグラフ単位で日本語で書いて英訳したり、書き終えた全体の英語原稿を日本語訳して、読みやすさ等内容の確認をすることも可能です。

DeepLのような翻訳ツールの進化、そしてGrammarlyのような文法・スペルチェックサービスが存在しなかったら、英語でのニュースレター配信に思いは至らなかったと思います。自分にとってはそれぐらい大きな出来事でした。

翻訳サービスの向上による利用者数の増加(1年弱で65%)

ここで昨年7月にDeepLについて記事で取り上げた際に記録した画面左下のアクセスデータ(Similarwebを利用)と、本日測定したデータを比較してみました。1年弱の間に、月間合計訪問者数が65%も増えていることに驚かされます。

Similarwebを利用して計測した1年間の利用者数変化の推移

問われる新しい技術の活用法、活用シーン

たった1年間でこれだけの利用者数の増加、そして追加機能が実装されていることを踏まえると、今後1年、3年後にはメタバース内での翻訳、音声翻訳等、さらなる利用シーンの拡大が予想されます。そんな際に改めて、こうした技術をどのように工夫して利用することができるかが問われることと思います。
上記に記載したのは私の今の時点で想像しうる利用法です。その他にもいろいろな場面で様々な活用法があると思われます。ぜひ同僚、チーム、仲間、家族、友人で、そんな工夫を議論してみてはいかがでしょうか?よろしければぜひコメント欄等でも共有いただければ幸いです。今後も新しい活用法を模索していきたいと思います。

「これからは自動翻訳を使い、何ができるかが重要だ。VRによって場所や時間、足が不自由といった身体の制約も一挙に解決する」。世界をつなぐ挑戦は続く。

日本経済新聞2022年1月25日

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市川裕康 (メディアコンサルタント)
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