主語が違う・発想の順番が違うー発想のメカニズム(下)
まちから入ったのではなく、そのまちで働いてもらいたい人と家族が5年間そのまちで生きる生活のシーンから発想した―オーストラリアのメルボルンは「世界で住みたいまち」ランキングの上位の常連である。メルボルン市の都市計画マネジャーに、「世界で住みたいまちになる秘訣は?」と訊ねた
とメルボルン市の都市計画マネジャー。世界からメルボルン市で、海外から世界企業に勤める人と家族が、5年間のウェルビーイング(佳く生きる)な時空間をすごせるメルボルンスタイルをデザインして、それが実現できる都市生活をつくり、結果として世界でいちばん住みたいまちとなった。世界でいちばん住みたいまちをつくろうか、から入ったのではない
順番が大事
ものづくりもそう
ものづくりにおいて大事なのは
産業集積とか地盤が大事である
そこから入るのではなく
産業集積がものづくりに大きな力になる
ひとつのものをつくりあげるために
それに関連する会社や人が
みんなが日常的に集まって
知恵を出し合って
ひとつに集めることで
なにか新たな価値を生みだせる
その順番で考えることが大事
今まで一所懸命やってきたけど
そんなの、もう古い
もうそんなの、もうない
と考え
今までと違うことなら、どこでもいい
安ければ、どこでもいい
というやり方に変えた
いままでのやり方が
コロナ禍で
ウクライナ戦争で
集まったらあかんと
密から疎となって
サプライチェーンが崩れて
集めにくく、調達できにくくなった
産業集積とか産業基盤がどうこう
と考えるではなくて
発想のメカニズムが大事
昨日までこっちの方向に向かっていたけど
あつちの方向だと言われたら
なり振り構わずに
あっちに飛びつく
一時のトレンドに右往左往する人、企業
一時のトレンドに動じない人、企業
あっちだと言われても
おいそれと簡単に変わらない
私は、わが社はこっちにいくと
右往左往しない
大切なのは
さまざまな問題を乗り越えて
どうしたら生き残ることができるのかを
自ら考える
そして
自分はどうしたいのか?
我が社はどうしたいのか?
電気自動車もそう
ニュースや識者は
これからは電気自動車一色だが
そもそも世界の現場では
電気自動車が
どんな場所であろうと、何時であろうとも
停まらずに走りつづける充電、給電のための
電力供給体制がとれている国ばかりではない
未来も、そうそうつくれないものではない
だからエンジンは絶対必要
だから世界が電気自動車に向かおうとも
わが社はエンジンでいく
わが社はハイブリットでいく
と考える会社が
あってもいい
現に日本のガソリン車は
世界市場で売れている
現に日本の軽自動車は
世界市場で売れている
ブームやトレンドや空気に
簡単に流されるのではなく
具体のもの、具体の人、具体のマーケットを
自らの目で観て、考える
それ、ほんまか?それ、なんで?
と、問いかけて、納得できる答えが得られるかどうか
その発想のメカニズムが大事
商店街で閉店する店がどんどん増えて
このままならばシャッター商店街になってしまう
だから商店街は生き延びさせなければいけない
というふうに考えるのと同じである
商店街は生き延びなければいけない
そのためになにをしたらいいのか
と発想するという順番ではなく
商店街が生活者に
選んでもらえるようにするために
どうしたらいいのかを考える
ことが大事であって
商店街コンサルタントとか
専門家だという人に
他ではこうしているよ
こうして上手くいったよ
と、あるところだけを切り取って
パーツだけ取り出して
こうだああだという甘言に
つられてはいけない
主語が違う
商店街が生き延びるために
どうするのかではなくて
生活者が選んでもらうために
商店街がどうするのかと
発想することが大事
お客さまが来なくなった
売上が落ちた
じや、アーケードをつくったらどうだ
イベントを打ってみたらどうだ
カタチを整えた
そうしたら人が来るだろう
と考え、そうした
しかしお客さまは来なくなった
そしてシャッター街とな
やっぱり手順が違っている
「職位が人を作る」いうような話も同じ
課長にしたら、課長らしい仕事をするだろう
係長にしたら、係長らしい仕事をするだろう
大丈夫だよ、それなりになるよ
職位が人をつくるなんて、ない
そうではない
その人が努力して
職位に見合った動きをする
職位に適した人間を選ぶのが
大事であって
その職位に適した人が努力して
職位に見合った動きをする
形を整えたら
職位を与えたら人は活きるのか?
商店街は生き延びることができるのか?
違う、できない
わが社は、わたしは
社会、お客さまに選ばれるために
なにができるのか?
なにができるのか?
そう発想しない
そう行動をしない
人、企業が増えた
発想の順番を変えないといけない
主語が変えないといけない
順番がちがうことが増えすぎている