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依存するな、自律せよ!コミュニティ思考に必要な「武器」の存在【コミュニティ思考を語ろう⑤】

 Potage代表、コミュニティ・アクセラレーターの河原あずさです。コミュニティづくりの専門家として、ファンコミュニティづくり、組織づくりのお手伝いをしています。

 3月のCOMEMO記事から「コミュニティ思考」についてシリーズで語っています。今日は第5回目の記事です。(あわせて、Voicyで音声コンテンツも公開しているので、もしご興味ありましたらそちらも聴いてみて下さい!)

 僕は、社会が今直面している課題への対応策を見出し、より豊かな社会を築くための鍵が「コミュニティの力」にあると確信しています。このコミュニティ思考に関する論考が遠くない未来に、より個々人や社会の可能性を解き放つきっかけになることを祈りながら執筆するので、どうぞ5回目もどうぞご笑覧下さい!

2~3回目のリンクは末尾に貼っておきます!


コミュニティを持続させるための自律の重要性

 コミュニティ思考についてのシリーズ連載も5本目となりました。今日は、コミュニティ思考の3原則「仲間のためにも動く」の続きについて説明します。

 これまで「コミュニティ思考には基本的な三原則がありますよ」という説明を順番にしてきました。1つ目が「ビジョンを行動基準にする」。2つ目が「仲間と対等に接する」。3番目が「仲間のためにも行動する」の3つです。

 なぜそれが大事かというお話ずっとしてきましたが、今回は「コミュニティ思考を体現する人に自分自身がなるために、どういう存在であるべきなのか」について説明しようと思います。

 これまで説明してきた3原則を満たす「コミュニティ思考を体現できる人材」になるためには、大事な要件が2つあります。1つ目が「自律していること」そして2つ目が「武器を持っていること」です。

 まず「自律していること」について説明します。自律は「自分を律する」と書いて自律です。「ビジョンを行動基準にする」という第一原則のところでも「他律」という造語を使って、自律の概念について解説しました。「人の言うことを聞いて、人の価値観に従う人材」が「他律の人材」だとしたら、自律をしている人は「自分が目指す目標、ゴール、ビジョンがあって、それをもとに逆算して行動をデザインできる人」と定義することができます。

 「他律な人材」はコミュニティに対して依存します。そして依存は、コミュニティにおいては非常に不健全に機能します。依存は、基本的には一方通行な関係性で成り立ちます。余裕があってリソースを提供する側と、余裕がなくて提供される側の関係性で構成されるのが「依存ベースのコミュニティ」なのです。そのような関係性が一度生まれて走り出すと「余裕のない人たちが余裕ある人たちから養分を吸い取り続ける」場の構造が常態化します。

 もちろん、お互いが合意の上でそのような関係性を築いているのであればまだマシですが、このような関係性は大抵は、余裕あった側の人たちが徐々に違和感を覚え出してコミュニティ参画のモチベーションをどんどんすり減らし、一方で依存する側の人たちがますます養分を場から吸い取ろうとするという、持続的とは言い難い状態へと変化していくのです。

 中には「共依存」という、相互に養分を吸い取りあう状態が完成することもあります。これはお互いがお互いの弱さに執着して、養分が循環するという、非常に厄介な状態なのです。これが強力に働いてしまうと、場はだいたいいい方向には向かいません。

 だからこそ、コミュニティが持続的になるには、構成するメンバーがそれぞれ「自律」していることが大事なのです。コミュニティ思考で言うところの「ビジョン」――自分のビジョンと周りの人たちのビジョン、組織のビジョン――を明確に定義して、重ねあわせ、すりあわせていくことで、相互にリソースを提供しあい、メリットを享受しあえる状態を生み出すことが、健全にまわるコミュニティを生み出す上でのカギとなるのです。

自律の要素としての「武器」の重要性

 自律した個を確立する上で必要な要素の1つが「武器を持つこと」です。例えばビジネスパーソンであれば、報酬を得るために活用する「スキルや経験や知識」が武器である、と言えます。

 武器は、主に「ターゲット」と呼ばれる、特定の対象の課題を解決するために活用されます。自分や特定のターゲットにあたる人たちが実現したいことがあるときに必要なツールなのです。

 例えば僕にとっては「ファシリテーション」「企画」「コミュニティづくり」「新規事業」「EQ」といった、過去の経験に裏打ちされたスキルや知見が「武器」となっています。この武器をどのように活かして、ターゲットをどう助けられるのかを明確に理解しているからこそ、フリーランスとして今のような仕事ができているわけです。

 今まで解説してきたコミュニティ思考の原則「ビジョンを行動基準にする」そして「仲間と対等に接する」、これらを実現するためには、相手と対等に渡り合える武器が必要です。「仲間のためにも動く」ためにも、相手から援助を求められたときに「自分はこんな価値を提供できる」と胸を張って差し出せるスキルやリソースが必要になります。必要な場面によって、自分の頭で考えて、的確に自分の武器を見抜いて運用する能力が、コミュニティ思考を体現するためには必要なのです。

 コミュニティは弱い立場の人たちのためにある…だからこそ依存されることも必要だ…そう考える方も中にはいるかもしれません。それはそれで、一つの考え方ではあります。しかし、武器もリソースも、相手のために動く余裕もない人が、弱い立場の人たちのために実のある行動ができるでしょうか?

 時に弱い立場の人たちに手を差し伸べる必要があるからこそ、持続的に支援をするための「強み」が必要です。例えば「自分自身の活動を持続的にするための生業を持っている」「相手との関係構築をする上で役に立つスキルや経験を持っている」「依存されることがあっても、自身の行動や思考や人生への影響を最小限におさめられるだけの余裕を持っている」ことが、コミュニティ思考を体現するための「強み」として、すごく大事になってくるのです。

 特に、弱い立場の人たちと接する際に「精神的な依存関係に陥りがち」な方は要注意です。弱者との共依存は、コミュニティの持続性にマイナスな影響を与えかねません。「流されない感覚と余裕」そして「ぶれない態度」はどうしたって必要になります。流されずに、夢を叶えるために自分の武器を活用し続けられること…持続的なコミュニティ運営を成功させるには、そのような資質とマインドが鍵になるのです。

 というわけでシリーズの5回目はいかがだったでしょうか。次回は「自律して武器を持つ人たちの集合体であるコミュニティにおけるコミュニケーション設計」についてお伝えできればと思います。では。

武器を持っている人材は、特定の会社やコミュニティに依存せずに持続的に行動することができる、という記事です

コミュニティ絡みのお悩み事はコミュニティの専門家集団「Potage」まで


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