note社、Google6%資本業務提携についての考察(Ver1.3)
われらがnote社は、国産の情報プラットフォームとして貴重な会社である。Googleから6%=4.9億円の資本業務提携、とのニュースがきた。Googleにとって日本の"上場企業"(←訂正)への出資は初。結構なニュースだ。僕なりの見立てを書いてみたい。
外部株主として実質2位
これで大株主は、①創業者34%、②日経グループ(新聞+TV)8.5%、③Google。従来3位のゴールドマン・サックス(法人株主+自己勘定?)より0.09%だけ上位に来た。(SBI、楽天など証券は個人株主が主かな?)
この高順位に、高い戦略性が見える。
提携の中身は?
GoogleのGeminiとの連動がうたわれてるが、その機能だけで6%という大量の株を渡すわけがない。IR資料みると、
とある。
ここをどう解釈できるか? noteコンテンツ、特に有料noteへのGoogleによるアクセスが「実証実験」として試みられるかな(作者への許諾プロセスは入るはず=最後から2つめ)
※追記:この背景には、去年から問題になってきた「学習データ枯渇」がある。とくに有料noteは、外部からアクセスできず、かつ良質な文章データの宝庫である可能性が高い(この点はAmazon-Kindleも同様)(どちらも著作者の許諾は別に必要なきがする)このアクセスを4.9億円=ほんの300万ドルで入手できるなら、Googleにとって安すぎる。
note社にとっても、同じくらいのメリットがあるということだ。
noteはAmazon-Kindleに国内で勝利しつつあるのでは
さらには、日本国内のネット文字コンテンツ販売(※紙とセットの電子本=出版エコシステムとしては別、後述)では、noteはAmazon-Kindleに(ほぼ)勝利しつつあると思う。これはGoogleが長年チャレンジし続けながら、できなかったこと。すごい。
この提携により、日本の同市場に対するアクセス(の可能性)を、Googleが得ることになるかもしれない。
その背景について、決算資料の成長戦略(p28-)パートが良い整理をしている。
この枠組みからは、Kindle自体は成功しているが、あくまでも「出版のエコシステム」の一部としての成功であって、「インターネットのエコシステム」とはいえなくなる。見出しの「勝利」とはこの意味合いで言っている。
「インターネットのエコシステム」においては、その「Distribution」をこれまで支配してきたのがGoogleだが、2024年からのAI検索でゲーム変更(or終了)
じゃあ次の支配者は?というと、SNSは囲い込みに走り過ぎているので(noteリンクするとビュー落とすし笑)、オープン性が基本のネットを支配しきれないだろう。ツイッタはクリエーター還元を始めてるが、条件などから、日本でベストとはいえない。(その二番煎じはさらに苦しい)
結局、日本のインターネットの「FINANCE」=マネタイズは、文字コンテンツ分野ではnote、というシナリオが見えてくる。文字コンテンツは全ジャンルをカバーするから、ここから動画などの他形態へ浸透するシナリオへと続く。
この流れに、今回、Googleが乗ろうとしている、と見える。
なおGoogleのSEOについては、昔からnoteドメインを最高レベルで優遇してるので、今さらの影響は軽微だろう
noteのグローバル展開?
さらなる妄想シナリオは、noteの巨大資本によるグローバル展開だけど、まあnoteは日本のネット発信文化に根ざしての成功なので、海外ではさすがに読めない。
・・・
参考:八田のビジネス分析note
ちなみに「八田だれやねん?」という方へ、僕のビジネス分析noteはマニアな分野を掘ってて、玄人筋にけっこー好評です。幾つか紹介しておこう。
てランニング系ばっかり笑。まあ世間的なキャラ的に公表する文章はそうなります笑。noteは日経COMEMOで2023年から書いてるくらいで、まあまあ観察歴があるつもりです。