クールジャパンのラスボスはアウトバウンドです。
コロナ禍による規制が終了しても日本から海外に旅行に出かける人は伸び悩んでいるようです。旅行業界は、いわゆるインバウンドと呼ばれる訪日外国人観光客の増加や日本国内の旅行は需要が戻りつつありますが、課題は海外旅行だとJTBは指摘しています。(参考:日経新聞)
日本政府観光局が公開している統計データ「出国日本人数の推移」を見ても、2023年(11月まで)の出国日本人数は850万人程度と2,000万人を超えた2019年の半分でした。出張者も含まれていることを考えると、純粋に海外旅行に出かけた日本人はさらに少ないと考えるべきでしょう。
アニメイベントと異世界転生
そこで今回は、海外旅行の魅力を考えてみます。時間やお金が無い!という人がいるのは承知のうえで、それでも魅力が十分に伝わっていない可能性もあるかもしれないと思ったわけです。なお、アニメや漫画が好きなひとたちを想定しています。
といっても筆者はドイツ在住者としてドイツの事例しか紹介できませんが。先に答えを言ってしまうと、
アニメイベントに参加して、現地のファンと「好き」を共有する!
木組みの家や城を観光することで、自分自身が「異世界転生」した気分になる!
どちらも筆者のQOLを爆上げする要素で、どちらもこれまでオンライン/オフラインの場で魅力をアピールしてきました。
アニメイベントに関しては、これまでも魅力や開催状況について書いてきました。
また、X(旧ツイッター)では、ハッシュタグ「#異世界ドイツ」で、 まるで異世界転生アニメ/漫画/ラノベの世界観を体験できる観光を紹介してきました。
イベント参加と観光の「欲張りセット」
でも、ダメなんです!共感を得ることはあれど、実際に行動にまで移す人は非常に少ないのが現状です。。。
なら、このイベント参加と観光の「欲張りセット」なら、ワンチャンあるかもと思ったわけです。
例えば、、、
欧州各国からアニメ・マンガの二次創作クリエーターが大集合する「ドイツのコミケ」こと「ドコミ」(Dokomi、日本語公式サイト)は6月28-30日にデュッセルドルフで開催されます。昨年(2023年)の来場者数は15万人オーバーと世界有数の規模に成長しています。
このデュッセルドルフから「異世界転生」するなら、近郊の町ゾーリンゲンのブルク城や、
参考↓
少し離れますが、同じ州内のザッツファイ城も雰囲気があります。
参考↓
さらに足を伸ばして、エルツ城(公式サイト)に行くのもいいかもしれません。ただし、公共の交通機関ではアクセスが良くないので事前の準備が必須です。
日本からアニメ・マンガ業界の関係者が多数招待される、ドイツのファン注目のアニメイベント「アニマジック(AnimagiC)」(公式サイト)は8月2-4日に開催されますが、アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のファンであれば聖地巡礼とセットにできてお得です。このあたりの情報は過去にまとめたので、参考にしてください。
筆者は近年、アニメ文化協会(ベルリン)が主催するアニメイベントを手伝うことが多いのですが(注・なので客観的な情報ではないです)、
ポツダムで今年は7月19‐21日に開催される「アニメメッセ・バーベルスベルク」(公式サイト)では、プロイセン王国/ドイツ帝国の宮殿建築で、悪役令嬢モノの雰囲気に浸るのも悪くないでしょう。
また、木組み建築なら、同じくアニメ文化協会が開催する「アニメフェスティバル・カッセル」(10月4-6日開催、公式サイト)もおすすめです。
周辺には、グリム兄弟やグリム童話に関連する町が点在し、中でもマールブルクは木組み建築による町並みがよく保存されていて、360度アニメや漫画の世界に埋没することができます。
クールジャパンはビジネスへの活用もいいけど、恩恵を享受してみては?
外国の人がアニメや漫画をクールと思っている。
外国の人が日本を訪問する。
これまでの議論のテーマは、こうした外国の人が思うクールジャパンをどうやって活用していくのか(ビジネス化して儲けるのか)という側面が強調されてきたと思います。
むしろ、これからは日本人自身が「好き」を通じて満たされ、そしてハッピーになってもいいのではと思うわけです。
海外に出かけて、現地の人と交流することで「好き」を共有し、ついでにまるで異世界転生モノのような場所を訪問し、作品の世界に自らが「異世界転生」する体験をしてみるという、日本人のためのクールジャパンがあってもよいのかもと考えたわけです。そしてこうした体験はドイツに限りません。アニメイベントは世界中で開催されていますし、歴史的な建築、町、城も世界中に存在するので、他の国にも応用できるはずです。
皆さんはどう思われましたか?(この投稿が面白いと思ったら、アカウントのフォロー、高評価&シェアしてもらうと今後のモチベーションになります)
タイトル画像:マールブルクの旧市街の町並みと近隣の町カッセルで開催されたアニメファンイベントで遭遇したコスプレイヤー(いずれも筆者が撮影)