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「あべこべ」世界が評価するニッポン。日本が評価しないニッポンーまたも失敗するかも②

池永寛明|社会文化研究家

世界から、若者たちが日本のマンガやアニメに憧れて、日本に来ている。にもかかわらず、日本にきたら、それらがオタクやサブカルチャーの扱いで、メインストリームではないことに驚くという。

「これからニッポンは、観光とコンテンツで生きていくべき」―30年前にも20年前にも10年前にもコロナ禍にも、そう唱える人は日本にもいた。しかし日本は、相も変わらず、「鉄・家電・自動車」を基幹産業で、観光とコンテンツ産業を色物扱いとしてきた。そして現在、どうなっているのか?


1.エンタメでニッポンを牽引できないと考える日本

韓国がエンターテイメントを国策にしたとき、日本は韓国をバカにした。

エンタメなんかで、国を牽引はできない
そんなの無理に決まっている
そもそも、そんなものは産業とは言えない

「鉄・家電・自動車」が基幹産業だと凝り固まった日本の思考法では、こう考える。そのあと、韓国はどうなったか?

韓国のエンターテイメントが世界を席巻している。あれよあれよという間に、韓国発のエンタメが世界を魅了している。おかしいな?どうなっているんだろう?

Niziu(ニジウ)が日本でブームになって、日本人がお金を使う。その金が韓国に行く。プロデュース、振り付けは日本人。だから日本で受ける。そういうことを馬鹿にしていたから、日本から、海外にお金が流れる。気が付いたら、何兆円も奪われている。

韓国エンタメビジネスのメインマーケットは日本。日本の音楽市場は世界第2位。コンサート、テレビ、DVD、CD、ストリーミング、SNSなど、歌や芸能の日本の市場は巨大。だから世界は日本をターゲットにする。韓国のエンタメビジネスも、日本がなければ成り立たないほど重要

韓国の4人組から、火がついた。ファッション、踊り、パフォーマンスは日本式だった。それは、韓国人の体躯にはよく似合い、日本の若者はカワイイカワイイと受け入れる。

韓国のガールズバンドを応援しているのは、日本の女子。日本の女子は、自分は、彼女たちみたいになりたいと憧れる。しかも彼女たちは、日本語で歌う。だから日本人の心にささる。韓国のエンタメビジネスは、日本からファッションとか音楽、映像技術、アイドル文化をベンチマークして、戦略的にビジネスシステムを構築して、計画的に実行したから、日本で受けるのは当然。そうなるように、絵を描き、用意周到に準備をして、果敢に展開した。また英語圏では、英語で歌う。最初から世界展開を前提としたマーケティングは抜群。こうして、韓国のエンターテイメントは世界から金を集めている


このような話を、平場で真面目にすると、怪訝な顔をされる。それはそうだけだど、それは間違い。日本は、漫画・アニメ・ゲーム・コンテンツ産業を趣味や娯楽やオタクのような世界観で扱うから、物事の本質を見失う。

2.サービス産業国であることに気づいていない日本

日本は、あっという間に、サービス産業国になっていた。
国民の7割が、サービス産業に従事している。そのことを理解できていない人が多い。もうひとつの論点は、サービスビジネスは「同時消費性」というという特徴を持つということ。つまり、レストランに行って、食事をして、お店をでたら、そこで消費がおわる。エステに行って、エステの施術の時間がおわったら、その時点でサービスが終了。お金を支払って、サービスを受けて、おわったら、消費はそこでおわる。このように

サービス業は、同時消費性である

モノは、だれかから買って、使いだす。車は、車を買って、車を持ちつづける間は、価値がある。サービスは、お金を払った時点で、消費が完結するので、それ以降の価値は残らない。残るのは、体験したときに感じた印象、記憶、経験が残る。モノ消費からコト消費、イミの発見・理解という流れが世界にはあるが、日本人は

       見えるモノは評価するが
       見えないモノは評価しないまま

レストランで1万円を払って美味しいモノを食べたらおわり。一方、ブランドショップでバッグを10万円で買ったら、そのバッグが自分のものとなり、自分のパートナーとして使う。しかし気にいればいるだけ、ずっと使ってしまうので、バックを買い替え、追加で購入してもらうために、「流行」「ファッション」をつくった。これが今シーズンの新作ですよ、今お使いのバックは流行おくれですよと煽り、新しいバックを買わせようとする。バックという基本機能に、なにかの付加価値をつけて、バックを売りつづけるという流れがまわらなくなりつつある。

3.サービス産業を下に見る日本

サービスは買ったら、そこでおわり。
しかし工作機械は買ったら、10年20年30年は使える。戦後日本の産業の軸足は、「耐久財」だった。物を作り、運び、売ることを日本の主たる産業だった。鉄鋼産業、電機産業、住宅産業、自動車産業、工作機械産業が、日本を牽引する産業だと考え、サービス産業は日本の主たる産業として

いかがなものかという
雰囲気が続いた

「Made in Japan」神話がある。
耐久財・見えるモノとして残るものを産業とよび、それ以外の見えないサービスは産業と呼べるものだろうかと考える。レストラン、理容美容、マッサージ、音楽、演劇、スポーツ、ゲームにかかわる仕事は、メインの仕事ではない。そんなものは周辺の消費だと、下にみる。

日本において、メインの産業は耐久消費財という意識が強い。銀行もそう。耐久消費財の会社に融資・投資しても、サービス産業への融資・投資はなかなか渋る。

4.お金のまわり方が変わったことに気づいていない日本

たとえば日本に、レストランシェフAさんと美容師Bさんと占い師Cさんの3人の国だったとする。レストランシェフAさんがBさんの美容室で髪を整えてもらい、5000円を支払った。美容師Bさんはその5000円から4000円を出して、Aさんのレストランで食事する。レストラン店主Aさんはそこから3000円で、Cさんに占ってもらう…という消費を繰り返していくと、お金はいつか消える

日本の抱える課題は、ここにもある

お金が日本のなかだけをまわっていたら、いつかお金が消える。ホワイトカラーが給料をもらって、食事をする。食事した店主が別のサービスを利用して、お金を支払う…国内の人と人だけでサービスをまわしていたら、いつかお金は消える。日本から、お金がなくなっていく。

日本のなかをお金が循環していて、日本は維持・発展できるのだろうか。そのことを、みんな、真剣に考えないが、日本にとって重要な課題である。

海外の人に、モノ・コトを買ってもらったから、日本は成長できた。日本が鎖国して、海外からお金を持って帰ってこれなくなったら、日本は生きていけるだろうか

お金の流れを変える

鎖国をしていた江戸時代は、米が貨幣と同じ意味を持っていた。各藩は米を作って、大坂と江戸に運び、大坂や江戸などの米市場に持ち込み、米を売って、換金して、その金で藩を経営した。だから各藩は新たな農地を開発して、米の生産力を高めて、大坂・江戸などの米市場での販売高を増やして、お金を藩に持ち帰って、藩を富ませた。しかし新規土地開発の余地がなくなり、生産性向上が伸び悩みだしたため、藩外で売れるモノをつくり、他藩や海外との交易を行って、藩に入る金を増やした。その金が倒幕資金となり、明治維新となった。たかが155年前の話


5.世界が評価するニッポン・日本が評価しないニッポン

日本の製造業は、海外企業との競争力を高めるため、日本国内でモノをつくったり部品や原材料を調達するよりも、海外で製造をしたり調達する方が安くすむ、コスト削減ができると考えだすようになった。

海外でつかうお金が増え、日本国中でまわる金が少なくなった。海外の活動が増えていくと、日本に戻ってくる利益やライセンス料などでは国内の人を養えなくなる。

最初は、それでもまわっていたが、海外での活動が増えていき、まわらなくなった。では、どうしたらいいのか?

国内の人にお金を払ったうえで
海外にお金を払ってもらう
 

国民の7割がサービス業で働いている日本で、外からお金を持ってこれなくなると、日本はまわらなくなる。今の日本に、日本国内で作って、世界からお金をもってくるモノやコトはあるのか? ふたつある。  

貿易外収支であるインバウンドと
コンテンツ産業

インバウンド観光は、外国人が滞在する観光地でのホテルや施設や食や交流や体験での売り上げは、真水で貿易外収支であり、注力すべきだということは理解できるが、しかし「漫画・アニメ・映画・ゲーム → 遊び →世界展開は無理」とこれまでの日本人は考える。

日本人は、ハードを高く評価するが、ソフトは高くは評価しない。繊維や家電や自動車や機械を輸出産業・世界展開産業と考えてきたが、観光やコンテンツ産業は主力産業・世界展開産業として扱ってこなかった。それが、現在どうなっている?

日本発のコンテンツは、国の支援がなくとも、世界で評価されている。ドラえもん、ドラゴンボール、セーラームーン、ガンダム、ポケモンONE PIECE、NRURUTO、進撃の巨人、攻殻機動隊、鬼滅の刃…

「日本を世界に広げた最大の立役者が漫画・アニメ・ゲームだ」というと、オタク扱いされたりするが、それは厳然たる現実である。日本に留学に来られる人、観光に来られる人には、日本の漫画・アニメ・ゲームで育ち、日本が好きだから来たという人が多い。これからの日本産業で世界展開できるのは、漫画やアニメやゲームなどコンテンツ産業だと世界は考えるが、日本はそう考えていない。世界と日本は大きく乖離している。本当の日本のことを知らないのが日本。

だからコスプレのようになった。コスプレのコンテンツは、世界的に評価される日本の漫画やアニメやゲームキャラクターにもかかわらず、安価な縫製力によって、コスプレは中国産が主流になった。コンテンツ産業も、そうなるかもしれない。現代日本は、ギリギリのところにいる。たかが漫画、たかがアニメとは言ってはいけない。

日本にとって、なにが大切か
そろそろ発想を切り替える

観光とコンテンツビジネスが、世界から日本に金をもってくる主力産業となる可能性は高い。次回は、この両産業の強みを支える「日本性(ジャパン・センス)」「日本文明」となにかを考えたい。


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池永寛明|社会文化研究家
【2022年7月1日始動】コロナ禍・ウクライナ紛争を契機に、大断層・構造変革しつつある日本社会の現在とこれからを考えています。日々の社会を3つの眼(虫の眼・魚の眼・鳥の眼)で観て、構造的・文化的に捉えて、発信します。著書(「日本再起動」「上方生活文化堂」など)