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お客さまが来る店・来ない店

「予約困難店」と呼ばれる店がある。1ヶ月後2か月後3か月後はおろか、半年後も予約できない店である。一方、コロナ禍で来店客が減って経営が厳し店がある。同じコロナ禍でも、順調な店としんどい店がある。二極化だとみんな言う。

「低価格を売りにした全国展開のシリーズ大型店はしんどいようやけど、お蔭様で、うちの店はどの店もコロナ禍前よりも業績がええねん」 なんで?「こじんまりした店だけど、特徴ある料理ともてなしで、お客さまに向きあいつづけてきたから、コロナ禍も、変わらずにご来店いただけている」

コロナ禍でも、お客さまが来る店と来ない店の違いには、明確な理由がある。

1.検討ごっこの日本

これまでなんとかやってきた事業がうまくいかなくなった。トップから、どうなっているんや?これからどないするんや?と詰問され、担当部署で時間をかけて検討する。

マネジメントやマーケティングの教科書や研修で学んだフレームワークを使い、外部の人たちに相談して、社会・事業環境や競合構造の変化や法規制や技術動向を調査・分析して、新しい事業計画や新しいモノ・コト・サービス計画を考え上程されるが、トップは意思決定しない。

「起業」の検討もブーム。社内で新規事業を検討させることが流行っている。その検討から、なにかが生まれることは、殆どない。なぜか。検討するだけで、本当は起業をする気がない。

起業するフリ
検討することが目的の
検討ごっこ

2.当事者意識がなくなった日本

会社に入って、同じ事業分野に10年も就いて、その世界の枠組みに過剰適合していたら、世の中が、お客さまが見えなくなっている。そんな人が「新しいことを考えよ」とか「イノベーションを考えよ」と言われても、思いつかない。仮になにかを考えついたとしても、世の中の流れから「一周遅れ」のモノ・コト・サービスのことばかで、新規なモノ・コト・サービスなど、思いつかない。「こんなんじゃ、あかんわ」と怒られたら、こういう。

 どこかのベンチャーを買収したらいい

自分たちでできなければ、「あなたたちはいらない」となるのが道理だが、自分たちができないことができている企業を買収したらいいという。「他人の努力は金を買える」と平気でいう。そもそもM&Aは、本来、「A社×B社」の融合によってCを生むことであるのに、自社ができない技術やアイデアは買えばいいという安易な風潮になった。そして

会社の力が弱くなった

自ら考えなくなり、外部のコンサルに金を出して考えさせる。何度かの打合せのあとに納品された他社でも通用するコンサル資料にすこしだけ色付けして、役員会議でプレゼンする。するとトップがこういう。

トップ「君が社長ならば、GOするか?」
あなた「あのコンサルに検討させたので、大丈夫です」
トップ「君は、どう思う?」
あなた「大丈夫だと思います」
トップ「じゃ君がやったらどうだ!」
あなた「私は企画ですから」

自分は考える人、実際にやるのは誰か別の人。自分事ではなく、他人事で、実行責任はとらない。自分がやらなければ、大変なことになるとは考えない。危機意識が低い。いつからか日本人から

当事者意識がなくなった

日本で起業件数が少ないのは、このことも影響している。

3. 最初からダメだと諦める日本

プロ野球選手に向いている人、プロ野球選手に向いていない人の違い―その社会人野球の投手はマウンドから、渾身の力を投げた。コーナーギリギリをついて、最高のいい球を投げた。しかし球審は「ボール」と判定。「なんでや!?」「くそぉ!」と悔しがる投手はプロ野球選手向き。「ボールなんかぁ…?」とガックリする投手はプロ野球選手に向いていない。ドラフトに指名される選手と指名されない選手の違い。社会人野球の元監督から聴いた。

自分のパン屋さんを持つことが夢見るパン職人がいた。いろいろなパンを食べて、なんどもなんど試作して、自信作のパンができた。「このパンならば、絶対受ける!」と考える人と、「良いパンがつくれたけど、最近、いろいろ魅力的なパンが出てきているので、買ってもらえないかも?」と考える人。腕がよくても、自分の店を持てる人と自分の店が持てない人の違いがある

「買ってくれないかもしれない」
と考えるからダメ

老舗料理店の親方は新規メニューを創作できるが、老舗料理店の親方の味を支えるNO2は新規メニューはつくれないという。日本料理店をはじめようとして、「美味しいと言ってもらえるかな?お客さまに来てくれないかも?」と悩み自店を持つことができない料理人と、「私の料理でみんなに満足いただき、予約困難店になっている」と自店の様子を想像する料理人。自店を持ち人気店にできる人と、老舗店のNO2に留まる人の違いである。

最初から「ダメ」と決めつけよう
とするようになった現代社会

そんなの美味しくないと言われんのとちがうか?うまくいかないのとちがうか?と考えるのではなく、「きっとうまくいく」「日本一になる」と考えて踏み出さないと、なにも始まらない。

一歩を踏み出せる人と
踏み出せない人の違いは、大きい


4.すべて チャラになった日本

コロナ禍となった2020年に開催されようとしたダボス会議のテーマは「グレートリセット」だった。コロナ禍を契機に、日本では明治維新・敗戦につづく三度目の大断層となる、産業・経済・社会システムは大きく変化して、新たな時代に入ると考えた。
 
しかし本当の日本は10年前20年前30年前から、戦後システムの多くが機能不全に陥り、大きな地殻変動期に入っていた。コロナ禍は、そのトリガーにすぎなく、2022年からのウクライナ紛争が加わり、エネルギー・食糧・産業など世界の枠組みの変化速度は加速している。にもかかわらず日本、世界のこれまでが

チャラになろうとしている

ということを直視しない。そもそも、そうだと考えたくない人も多い。これからも、これまでの場所にとどまり、これまでどおりでやっていけると考えている。そうありつづけられるという確証は誰も持っていない。本当はみんな不安。自分のいる「場所」がなくなってしまうのではという漠とした不安のなかにいる。

どうしたらいいのか?

社会、市場、お客さまの変化を観つづける。その変化のなかから、自分ができることを見つけて動く。これで生きていくと決めたら、その実現に向けて行動する。


「ラーメン屋を始めよう」と決めた。いつまでに何をどうするのかという計画をたて、資金を集め、人を集め、店を作る。どんなことが難しく、どんなことが課題になるのかを事前に検討して解決することが大事ではあるが、もっと大切なことがある

「それをやっても、あかんのとちゃうか?」と考えるのではなく、「おれがつくる、このラーメンは絶対に世の中にうける!」と考える人が成功する

成功している人は、大概そう

最初から、すべてがうまくいく訳がない。開店してすぐに長蛇の列になるなど、そうそうない。成功までには、店舗経営的に苦労するのは、当たり前。経済的に苦労するのは、当たり前。それが嫌や、それは辛抱できないというのなら、なにもできない。

学校を卒業したら
いきなり給料を貰える

ということは、本当は不思議なこと。入社して研修をうけているだけなのに、給料が貰えるのは、本来、おかしい。それを当たり前だと考えるから、それからの会社生活でも、「自分がしなくても誰かがやってくれるだろう」と考えるようになった。こうして、だんだん

当事者意識が薄れていく

ビジネスを立ち上げたが、当初の売り上げでは家族を養えない、ではやめるか?ラーメン屋を始めたが、最初の3ヶ月は利益ゼロ・赤字で食っていけない、ではやめるか?ボクサーはチャンピオンになって高額のファイトマネーが貰えるまで、別の仕事をしているとよく聴く。つまりこうする


 当時者意識で、腹を括る

現代日本人は、真面目に、そのことに、向きあわなければならなくなっている。かつて日本は、「JAPAN AS NO1」と持て囃された。もうそんな時代ではない。10年も20年も30年も前からそうではなくなっていたのに、「JAPAN AS NO1」の余韻に浸りつづけていた。日本がそこに留まっている間に、世界は前を歩きつづけた。
 
日本が「失われた20年、30年」といっているうちに、世界は大きく進んだ。世界の人々は、私たちと同様に、懸命に、なにかをつくり、なにかの商売をして、暮らしをしている。それは、世界も日本も同じ。では日本と世界はなぜ違ってしまったのか?いつからか日本は行動する前に

「できない」「無理だ」

と考えるようになったからだ。77年前、敗戦の焼け野原に立ち、日本人はどのように生きようとしたのか?いきなり宮仕えできただろうか?大きな立派な会社に勤め、高給を貰えただろうか?そうではない。
 
自分ができるものはなにかを考えた。食べていくためには、なにをしたらいいのかを考えて、いろいろなことを学び、準備をして、一所懸命に、行動した。

そういう気構えと覚悟を取り戻す


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