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日本はまたも失敗するかもしれない①ーハウステンボスはどうなっていく?

日本企業が出資していたハウステンボス株が外資に売却されると発表された。1992年3月のオープン以来、何度も、ハウステンボスに行った。訪れるたびに、いつも、新たなコト、素敵なコトを発見した。日本のパークのなかで、ありのままを体感でき、心地よく、落ち着く日本性を感じさせるパークだった。これから、外資の経営となって、ハウステンボスはどうなっていくのだろうか?

1 やはり。これまでどおり。

33年前の1989年12月29日に、日経平均株価が史上最高値をつけてから、日本は「失われた」30年に沈んだ。日本が強かった鉄鋼も造船も家電も自動車も機械も半導体も

「日本製」が世界に飲み込まれた

2020年に、コロナ禍となり、世界的な行動制限を余儀なくされ、社会活動が縮小して、コロナ禍不況に陥っている。さらに2022年、ウクライナ紛争が発生して、エネルギー・食料危機がさらに重なった。

インフレが進むなか、円安が加速して、スタグフレーションに入った。識者たちは、「日本のこれからが見えない」と、これまでの日本の産業政策の延長線の枠組みで悲観的に語る。一方別の識者たちは、「新たな技術が日本を救う」と現実の産業・経済と乖離した楽観的な技術論を妄想する。これまでの日本は

過去だけを見る人
未来だけを見る人

のどちらかで、「現在」を観ない人が多かった。だから「過去と現在と未来」がつながらなかった。日本では、「過去はこんなに良かった」と懐古する人が評価されたり、「未来はこんなによくなっていく」と夢想する人が支持されがちだから、人々は現場・現実・現物・現在を直視しなくなった。現在は、過去の行為の結果であり、未来が埋め込まれているのに、そこから逃避してきたから

 正しい未来観が持てなくなった

現在はコロナ禍2年半目の秋。コロナ感染対策の行動制限と活動制限による消費需要の減少、原材料の値上げ・サプライチェーンの停滞で生産減少で、コロナ不況がつづく。このコロナ禍はいつまでつづくのだろう?このコロナ禍はどうなるのだろうか?

日本は、これからどうなる?

2 このままでは、また日本は失敗する

1年半前のコロナ禍1年目に、こう書いた。変化を見据えて、動いている人・企業、動いていない人・企業。すでに大きな差となっている。


「ワクチンができたら、中国のハイエンドのお客さまを日本にお連れします」と日経フォーラム世界経営者会議で話されたのは、Trip.comグループCEOの孫潔氏。コロナ禍収束後に、中国のみならず世界から日本を訪れるトラベルバブルがおこるだろうと彼女は言った。

そのとき、日本で美しいモノを観たい、素敵なモノを感じたい、触れたい、美味しいモノを食べたい、日本的なコトを体験したいという世界の人々が日本に来られているようなるだろうと彼女は考えている。

コロナ禍で大きく変わる社会的価値観のもと、オンラインで世界とつながったコロナ禍後、旅のカタチも働き方も根本的に変わる。

今年5月に発表された世界経済フォーラムの「2021年の観光魅力度ランキング」で、日本ははじめて世界1位となった(2位はアメリカ・3位はスペイン)。コロナ禍前からもインバウンドは急拡大していたが、コロナ禍が収束したら

日本に観光バブルがおこる

そのように予測をして、日本を新たな旅行先として、外国資本がコロナ禍で割安となった日本の旅館・ホテル・施設・土地を次々に買い、コロナ禍後に準備しようとしている。すると、こんな日本旅となる

インバウンドに来た外国人は、外資が経営している日本旅館に宿泊され、外資が経営している寿司屋さんで寿司を食べ、外資が経営している交通機関で移動して、外資が経営しているレジャー施設で遊ぶ。そんな未来の日本。

世界から観光客が来られるのは、いいこと。世界の人が日本に来られ、日本滞在時に金を落としていただけるのは、有難いこと。しかし、需要が高まる日本の観光ビジネスへの外資が進出が進むと、海外から入ってきたお金が日本のなかでまわらず、海外に戻っていく。

大切なことがある。外資は、世界目線で、ホテルや旅館での施設を世界仕様に見直していく。当然ながら、彼らも「日本」を売りにするが、その表現法はなにかが違う。わずかな変化を施したかもしれないが、日本的ミニマリズムなどを生み出す微妙な均衡を崩してしまい、日本的美意識が失われていく。かつてゴッホが葛飾北斎の浮世絵を真似て描いた絵に、日本人が違和感を覚えたように、日本の本質を失う。日本進出で、日本風なデザインに、日本っぽいデザインで日本を訴求した観光ビジネスをしようとするが

それは日本性ではない

それは、私たちが海外に行き、外国人経営の日本料理店で食べるときの違和感と同根である。本質を知らない人は、それを日本だと思い、受け入れ、評価していく人が増えていくと、日本のなかに

外国人が見る日本

が増える。それがさらに広がり、普通になっていくと、日本人ですら、なにが「日本性」かが分からなくなる。こうして日本をつくりあげていた「日本性」が崩れていく。そして「日本性」を生み出してきた

「日本の方法論」が弱くなる

そうすると、日本は「日本」でなくなり、いつか日本は世界から見放されていく。

さらに、大きな課題がある。
コロナ禍で観光客が来なくなった日本の観光業界は、GOTOトラベルキャンペーンで、観光客を取り戻して、コロナ禍の終息後に観光客が元に戻ることを願っている。しかし、だ。彼らは、コロナ禍前の観光スタイルという「これまでの方法論」で臨もうとしている。彼らを取り巻く観光関連業界も、従前どおりの方法論で臨もうとしている。その先に、とんでもない乖離がおころうとしている。なぜそうなるのか?

コロナ禍のなかで進む
人々の旅への価値観の変化を
読み違えている

人はなぜ旅をするのか?
日常性から非日常性に移動して、知らない土地を訪ね

               見学→体験→交流

というプロセスを踏んでいくが、行動制限のコロナ禍のなかで、観光(光(寺社仏閣など立派なところ(ハード))を観て、記憶に残す)から、観風(知らない土地の風(風土や生活文化や食文化(ソフト))を体験して、感性を高め)へと、旅人の価値観が変わろうとしている。さらにテレワーク・リモートワークの進展は、ワークとバケーションを融合したワーケーションに、二拠点生活や移住などで、その土地の人々と交流して、ウエルビーイング(佳く生きる)をめざしていこうとする動きが、コロナ禍で進んでいる

なぜそんな読み違えをするのか?それは、現在を観ないからではないだろうか。現状、変化の構造、意味をつかまず、いままでのまま、先入観のままで、動いていたら

観光でも、日本は失敗してしまう

次回、観光ビジネスもそのひとつである、これからの日本を大きく左右するコンテンツ産業、漫画・アニメ・映画・ゲームなどの「コンテンツ」ビジネスの日本における意味合い、可能性、日本再起動に向けた方法論を考えたい


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