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『フォークの歯はなぜ四本になったか』という本を読まずに語ります

本を読まずに語るシリーズをやってみようと思います。

ぜんぜん読んだことがない本

まず、読まずに語ることについては、下記に書きましたので、ぜひお読みいただけたら嬉しいです。

上記に「読んでいない、という状態」について4つのパターンがあると書いたのですが、この本については、入手したばかりで「ぜんぜん読んだことがない本」にあたります。

実用品の進化論

人間が加工してつくる道具やモノ、その形は、どうやって進化してきたのかーーこの問いに、要求される機能に沿って、と答えるのでは不十分。実用品の変化は、それが出来ることではなく、出来なかったこと、不具合や失敗の線を軸に歴史を刻んできたーーデザインと技術の歴史に豊富な事例をもって新しい視点を据えつけ、<失敗>からのモノづくりを教える著者の代表作!

『フォークの歯はなぜ四本になったか』ヘンリー・ペトロスキー著 忠平美幸訳(平凡社ライブラリー)より

そのように、裏表紙にありました。

失敗の共有の重要性

余暇ツーリズム学会ツーリズム心理研究部会でのパネルディスカッションにてファシリテートの役を仰せつかりました。そこで、失敗事例を共有することの重要性について、お聞きする機会を得ました。

失敗事例のみを研究している方もいらっしゃる、とのこと。ベンチャー界隈でも、失敗事例を共有するイベントがあったように思います。

この失敗を共有することには、当事者としてはためらいもあることと思います。武勇伝にもなりませんし、自慢話にもなりません。しかし、社会的価値は、とても高いものだと思うのです。

成功と失敗の再現性

「成功事例の再現性は低いが、失敗事例の再現性は高い」と言われます。成功には運の要素も多分にありますが、失敗は確実に呼び寄せられるからです。

うまくいくためには、時の運も必要で、同じことをやってもタイミングが違えばうまくいくとは限りません。様々な要因が、奇跡的に噛み合ったときに、大きな成功が生まれます。

一方、失敗は、「それやったらダメだろう」というような、定番の動きがあったりします。

再現性があるものは科学的に分析可能で、回避も可能です。だからこそ研究対象になるのかもしれません。

認知能力のニーズ

サービス業では、失敗をどこまで減らすことができるか、というベースを持ちつつ、その上で顧客の期待値を超えるものを提供することが求められます。

顧客が求めるものを、どのように読み取るか。「大丈夫」という言葉は、本当に大丈夫なのか。その笑顔は本物なのか。表情を読み取る力は、基本的に人が持つ力ですが、その精度を高めていくことは高い認知力が求められます。たとえば、微表情を読み取るクラスになると、正しくトレーニングを受けた人は、世界でも500人程度しかいないと言われています。

テクノロジーの活用

カンブリアナイトの「みえる」「わかる」「できる」「かわる」が、ここに当てはまります。カンブリアナイトについては、下記をお読みいただけると嬉しいです。

認知をサポートする技術は、各種センサーによって生み出されつつあります。エモテックと呼ばれる感情解析関連技術も大きなジャンルとして注目されています。サービス業の最前線にいる方や、臨床心理士などには、その解釈の精度を上げる文脈構築力を持つ人がいます。さらに、そうした方々は、介入のパターンを生み出すクリエイティビティを、日々のお仕事の中で磨き続けています。顧客の満足とさらなる期待により、継続する関係性を構築するために。

技術を活用することで、認知力を大幅に拡大することができれば、その高い解像度は、解釈の幅と深さを広げてくれることでしょう。その広がりは、介入の多様性爆発につながると思います。

期待値による契約の継続

全産業サービス化時代、と言える状況だと思います。メーカーはプロダクトを作って売るだけではなく、いかにサービスとして提供し、継続的に対価をお支払いいただくか、というリカーリングモデルへの移行に頭を悩ませています。

リカーリングモデル・サブスクリプションモデルは、期待値による契約の継続が肝です。

期待値が低ければ、そもそも契約には至りません。しかし、事前に期待値を上げすぎると、実際の体験が事前の期待値に届かず解約につながります。適切な期待値コントロールと、それを超える体験の提供。さらに、継続することで向上し続ける満足度への期待を提供すること。

これらは、サービス業が得意とするものではないでしょうか。

失敗を重ねた歴史を持つ強み

生の対人関係の中で、大小の失敗を経験しながら磨かれる、認知と解釈と介入のサービススキル。その力は、抽象化することで、様々な産業におけるサービス化を検討する上で、大いに役立つ力だと思えます。

『フォークの歯はなぜ四本になったか』という本は、サービス業が人材輩出産業になる可能性を示唆してくれるように思えました。

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