ドイツ:マンガとグッズが盛況=公共放送報道
ドイツでマンガやグッズが好調のようです。フランクフルトを有するヘッセン州の公共放送「Hessischer Rundfunk」は9月25日、「アニメ&マンガ:なぜファンはアニメグッズのために数時間も列に並ぶのか」というタイトルの動画を公開しました。
日本では、アニメやマンガの欧米事情というとアメリカやフランスの印象が強いようで、先日もアニメ業界の方からそういう指摘を受けました。
今回はこの動画に関連してドイツのアニマ・マンガ事情を改めて紹介してみたいと思います。
冒頭、アニメファンが集まるイベントとして「コンニチ」が登場します。ドイツでは、「ドイツのコミケ」を目指すデュッセルドルフの「ドコミ」が今年18万人を動員(関係者含む)し好調です。続く「コンニチ」(ヴィースバーデン)や「アニマジック」(マンハイム)も3万人程度と落差はありますが、全土からファンが集まる大型イベントとして長く界隈から支持されています。新興勢力の「アニメメッセ」(ポツダム)も近年存在感を増しています。
ヘッセン州の番組なので州内で取材した内容が続きますが、カッセルのコミック専門店では、取材を受けたマンガ読者はこの日9冊94ユーロを購入し、毎月のマンガ購入費はこの3倍だそうです。約300ユーロだとすれば、5万円弱くらいでしょうか。あくまで「そういう熱心な人」もいるという話です。
店主によると、店内に占めるマンガ売り場は拡大を続け、その売上高はコミックスとグラフィックノベル足しても届かないそうです。
報道で紹介されている書籍業界団体(Börsenverein des Deutschen Buchhandels)の統計によると、全書籍の総売上高に占める「カテゴリー:娯楽書籍」の割合は2010年の6.9%から2022年には11.9%とほぼ倍増しています。公共放送ARDのジャーナリストは、コミックに占める売上高の2/3がマンガで、3年前と比較して75%拡大したと説明しています。
さて、動画の後半では、フランクフルトでグッズ販売を行う店主のインタビューが続きます。スタジオジブリのグッズが大人気だという話ですが、このあたりは過去の投稿で事情を紹介しているので興味のある方はどうぞ。
公共放送の話題から離れます。
ドイツでは9月21日に「MANGA DAY 2024」(公式サイト:ドイツ語)というマンガイベントが開催されました。出版社がマンガのサンプル冊子を各地の店舗で配布するという1日限りの催し物です。今年はマンガ出版社13社が参加し、ドイツ語圏のドイツ、オーストリア、ルクセンブルク、スイスの書店やグッズ店、図書館など1300カ所で、30タイトルのマンガ冊子を無料配布しました。
筆者の見る限り、各地でライブドローイングやワークショップなど、マンガ文化に関連したイベントやグッズ店ではコスプレ入店割引や各種セールが同時開催され、規模も内容も年々充実している印象です。
紙のマンガを制作する出版社が地域の書店を応援する取り組みという側面もあるこの「MANGA DAY」については過去の投稿も参考にしてみてください。
ところで。。。ドイツにおけるマンガやアニメ事情ですが、経済的側面だけでなく、文化事情もひとつ紹介しておきます。ファンによるアマチュア演劇の存在です。なぜか日経新聞が取り上げており、背景事情にも迫る読み応えのある記事を公開しています。
筆者の見る限り、アニメやマンガ、ファンが集まるイベントといったテーマはドイツでも地域のローカルメディアにとどまらず、主要なメディアで取り上げられることが増えました。しかも好意的な内容が多いです。
ドイツ/ドイツ語圏でもアニメやマンガはさらに根付いていくのかもしれません。皆さんはどう思いますか?
最後に今回紹介した動画を以下の引用しておきますので、一度ご覧になってみてください。
タイトル画像:ドイツの書店に並ぶマンガたち。筆者8月撮影。