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困難な状況下を突破する原動力となる「コミュニティ、社会への日頃からの能動的な取り組み」

昨今、SDGsが世の中に浸透していることからも分かりますが、企業がビジネスを成長させていく上で利益のみを追求していく時代ではなくなり、ビジネスが以下に社会貢献につながっているかということが求められる時代になっています。

今回、日経COMEMOの投稿募集で「仕事で社会貢献を感じた経験」というお題が出たこともあり、Peatix創業から10年というこの節目のタイミングで自分自身の経験を振り返ってみたいと思います。

東日本大震災直後のサービスローンチ

Peatixがサービスをローンチしたのは2011年5月12日。東日本大震災の直後でした。Peatixはイベント・コミュニティを支援するサービスなのですが、サービスを開発していた大震災前はライブなどエンターテインメント領域での利用が多いだろうと想定していました。しかし、3月11日の東日本大震災によりその想定は根底から覆りました。サービスを開始した2011年5月は世の中が自粛ムードであり、エンターテイメント関連のイベントは開催されていない状況になっていたのです。

サービス開始のタイミングで想定したマーケットは目の前にありませんでしたが、その時期に震災復興のためのチャリティイベントが数多く開催されたり、NPOがたくさん立ち上がっていました。そこで我々は自分たちに出来ることがないかを真剣に考え、社会貢献に関わる活動をサポートすることを決めたのです。

具体的には社会貢献に関連するイベントには手数料を半額とする「ソーシャルグッド割」を提供し、サービスを原価で利用してもらえるようにしました。その他、チャリティイベントの会場にチームメンバーで伺い受付のサポートも実施しました。

この時、Peatixにはコミュニティをサポートするサービスとしての魂が吹き込まれたと考えています。当時の非常に困難な状況を鑑みると小さな社会貢献だったかも知れませんが、社会貢献を通じて我々のサービスに魂が宿ったのです。

2020年新型コロナウイルスの爆発的な広がり

Peatixはサービス開始以降コミュニティの支援を続けていきながら決して順分満帆ではありませんでしたが、数多くの素晴らしいコミュニティにご利用いただけるサービスに成長していました。しかしサービス開始から9年を迎えるタイミングで新型コロナウイルスが世界中に広がっていきます。2020年4月にはオフラインのイベントの多くは中止もしくは延期となっていきました。我々が支援し続けてきたコミュニティが開催するオフラインイベントが目の前から消えていったのです。

Peatixとしてもビジネス面でもとても厳しい状況に直面しておりました。同時にPeatixを利用してくださっているコミュニティの皆様も活動が大きく制限され困難な状況に直面していました。

一方でビジネス関連のイベントを中心にオンラインへの移行を模索する動きも出ていました。

2020年までPeatixのサービスをご利用いただく主催者の実に98%はオフラインイベントを開催していました。つまりオンラインイベントは2%ほどしかなく、正直オンラインイベントに関しての知見はチームにほとんどない状態でした。

そこでまずオンラインイベントがなんたるかを理解するために自分でオンラインイベントを開催していきました。
2020年5月末には(おそらく)日本初の「24時間オンラインチャリティイベント」を横石さんと共に開催しました。24時間を1時間毎に24のコミュニティ・プログラムで繋ぎ、参加者からいただいたチケット代、Tシャツ代などは全て医療従事者に寄付させていただきました。全くオンラインイベントの配信に知見のなかった状態から2ヶ月後には24時間の配信を実施(私自身は9つのプログラムのファシリテーションを担当)するに至ったわけです。

このようにコロナ禍の困難な状況下で、コミュニティの皆様がいかにオンラインでの活動を継続できるようにサポートできるか、世の中に対して活動を継続していくことが出来ることを示せるかを考え動き続けました。どれだけ貢献できたかは分かりませんが、結果として本当に多くのコミュニティがオンラインでの活動をPeatix上で実施してくださり、オンラインイベントが大きく盛り上がっていきました。私自身、不確定な状況下で大きな勇気をもらいました。社会、コミュニティへの能動的なサポートが、結果として自分たち自身も救ってくれたのです。

ビジネスの原動力と社会への貢献

サービス創業時の東日本大震災、そしてサービス創業から10年というタイミングでのコロナ禍と世の中に大きな影響を与える困難な状況が起きた時ほど、個人そして企業としての存在意義が問われるのではないかと考えています。当然困難な状況下においては、企業として存続出来るかという大きなチャレンジが前提としてあります。ビジネスとして継続出来るか、売り上げを作る事ができるのか。そこを疎かにすると企業体として存続が叶わず本末転倒となります。
しかし社会が困難な状況になっている時に、自社の利益のみを考えて動いていくよりも、いかに困難な状況に直面しているお客様をサポート出来るかの視点で動いていくことでビジネスとしても状況を打開していく一手が打てると経験を通して確信しています。

Peatixではコミュニティのサポートを軸にサービスを展開しているのですが、チームのメンバーがコミュニティに対して距離が出ないよう、今年から「Community Month」という取り組みを始めました。一定の期間の間に何かしらコミュニティ、社会に触れ合う活動を行うためにお休みを1日取れる制度なのですが、どのような活動をしたかをレポートにまとめメンバー同士で共有する仕組みとなっています。このような仕組みによってチームメンバーがコミュニティ、そして社会への貢献・つながりを感じられるようになるのではないかと考えています。その他、社会貢献活動をしている方をゲストに迎えるオンラインイベントを定期配信するなど企業体としても様々な取り組みを続けています。

繰り返しにはなりますが、企業はしっかりと利益を作ることが求められます。しかしながら、社会、コミュニティに対しての貢献を無視した動きをしていると、困難な状況に直面した時に打開することが出来なくなると思います。日頃から社会、コミュニティへの貢献を意識し能動的に動いている企業、個人が、困難な状況下に直面した際に、日頃からサポートしているコミュニティと共に動くことが出来るため、しっかりと活動を続けていくことが出来る。そう考えています。



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