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モノ言う社員の声がより良い組織を創る

こんにちは。Funleash志水です。前回の記事もスキとコメントをいただきありがとうございました!私自分も少し時間を見つけて1年の振り返りを行い、来年やりたいことに考えを巡らせることができました。

知らない方もいらっしゃると思うので少しだけ触れると、私はキャリア人生のほとんどを外資系企業で過ごしました。3年前に仲間とともにファンリーシュという会社を立ち上げて現在はさまざまな業種&形態の日本の組織の外部支援を行っています。(会社を立ち上げた想いはこちらに↓) 

今日は仕事柄、日々経営者・人事・現場の社員の方と話す機会を通して気づいた点について書いてみます。

透明で真摯な社員コミュニケーションが要諦

三種の神器(終身雇用・年功序列・労働組合)をはじめ日本型雇用システムの課題についてはいろんなところで議論されているので割愛しますが、ここを変えたら日本全体の人材マネジメントが劇的に変わるだろうなと思うことがあります。それは「社員とのコミュニケーション」です。

失礼ながら、日本企業の経営層&人事から社員とのコミュニケーションがあまりに雑すぎる。そう感じることが非常に多いのです。

例えば、先日ある日本企業の社員の方々からこのような話を聞きました。

・年度末に評価結果あるいは昇給(給与のアップ)について通知がされない。社員は給与明細で確認している。
・上司から理由も告げられないまま、希望しない転勤を命じられた
・希望していない部署への異動を告げられた
・昇進したのだけど何をどう評価されたのか説明がなかった

複数の企業の社員の方にもコミュニケーションについて質問を投げてみると、これが珍しいことではない特徴だと知り愕然としました。

こんなことが起きている組織は深刻な状態です!

私が所属していた外資系の組織で上記のようなことが起こっていたら、恐らく社員による暴動が起きます。
それはちょっと大袈裟ですが、少なくとも上司には厳しいフィードバックと措置がとられます。また、こんな上司を放置している人事部門にも役割を果たしていないとレッドカードが突き付けられます(社員に対して成果を期待するかわりに、経営・人事への期待値は高いため、マネージャーはコミュニケーションスキルを磨かねばなりません)

採用、配置・異動、昇進、退職など社員とのあらゆるタッチポイントにおいて、決定の背景や理由を伝えることは極めて重要です。上司がメンバーに対して賞賛・感謝を伝え、社員の意欲を引き出す最高のチャンスなのに本当にもったいない。研修やエンゲージメント調査に大金をはたいても、素晴らしい施策を打ち出しても台無しです。

「顧客の価値を上げるためにイノベーションを生みだそう。新しいことに挑戦しよう。社員は主体的に取り組みをしよう」いくら経営陣が檄を飛ばしても社員はついてこない。美しいビジョンや変革の旗を経営が掲げたところで、現場のコミュニケーションがこれでは社員は白けてしまうのではないでしょうか。

「経営層のメッセージ」や「社員とのコミュニケーション」をおろそかにして「変革」や「イノベーション」といった流行りのキーワードを並べても、変革が成功するはずがありません。数々の優れた組織をみてきて、この事実を強く確信しています。
本当に組織を良くしたいなら、エンゲージメントを高めたいなら、企業はもっと社員とのコミュニケーションにお金や時間を投入すべきです。一番重要なのは、職場で大切にされていない、尊重されていないと感じたら、「社員」が声をあげることです。

扱いにくい社員と思われることを恐れない

安定した右肩上がりの経常的な成長が約束されていた高度成長期には、組織に従順で、上司から指示されただけを黙々とこなし、定年まで勤めあげることが「模範的な従業員」の姿でした。実際、従来の日本企業では、そのような人物が評価されて、昇進して階層をあがってきたとも聞きます。

現在は違いますよね。絶え間なく変化する不確実性の高いビジネス環境下において、組織も働き手も「変化に対応する」力が求められています。企業の求める人材もそれに伴い大きく変わってきています。

・イノベーションによって新しい付加価値を生み出すことができる
・組織への貢献意欲(エンゲージメント)が高い
・組織に依存せず主体的に自分のキャリアを築く

企業はこんな社員を求めています。これまでとは明らかに異なる新しい社員像であることは言うまでもありません。(主体性・自律を社員に求めていない経営者や人事はいません)

実は、経営層は気づいていないかもしれませんが、主体的に行動できるエンゲージメントの高い社員とは、「モノ言う」社員です。時には扱いにくいことがあるかもしれまれせん。

では、「モノ言う」社員とは具体的にどんな人なのでしょうか。

職場でもやもやする、何か違和感がある、企業理念とは異なる・・そう感じることがあったら、恐れずに声をあげることができる人材です。

疑問や懸念があれば、まずは上司に率直に伝える。それでも改善が見られないときには、その上の上司に伝えて解決を試みる。最終的には人事・経営層に伝える。(ちなみに、私が所属していた組織では、オープンドアポリシーとしてこのプロセスを明文化していました。むしろ黙っていることは組織を改善する社員としての責務を果たしていないとみなされました)

こんなことをいうと、日本企業では難しい、上司に疎まれる、そんな組織文化はうちにはない、組織にいられなくなるかもと心配されそうです。けれども、メンバーが上司や人事に自由に異を唱えることができる。オープンで風通しの良い文化や職場環境をつくらないと非常に危険なのです。経営や人事が気づかない「組織の盲点」ができるからです。企業の不祥事はこれが一番の原因であることがわかっています。

より良い組織にするために組織の問題を伝え、解決するためのアイデアを出すことは社員に求められている重要な役割です。社員が声を上げることで組織の不正や嘘を未然に防ぐことが可能なのですから、実は組織に貢献しているのです。(部下の批判は上司の創造性の向上に役立つという研究結果もあります)

グローバルであれ、日本国内であれ、事業の成長、活力ある変化に強い組織の実現は、どの企業においても重要な命題です。実現に向けて真剣に取り組んでいる企業ならば社員が実現を促す原動力であることを認識してます。

社員の声に耳を傾け、社員のエンゲージメントを高めることは経営・人事の使命です。


皆さん、これから「モノ言う」社員として行動してみませんか?
どのようなアクションを取ればよいのか下に整理してみます。各社が抱える課題や組織文化は異なると思いますが、下記のアプローチは応用できると考えています。

1)組織の決定・指示にもやもやする場合は、決断の背景や理由(Why)がわかるように説明してほしいと上司にお願いする
2)組織で起こっている問題や課題を裏付ける客観的な事実、または根拠に基づく議論ができるよう準備する
3)自分の利益(わがまま)ではなく、組織全体にとって有益でかつ健全な意見やアイデアを考え、提案する
4)社員の声を受け止められるよう心理的安全性が確保された組織文化を創るために自分ができることやる
5)会社や上司が用意してくれるのを待つのではなく、組織にとってプラスになることを自ら考えて提言する

例えば、下記の記事を見ますと、『上司による部下の過度な監視や業務時間外の対応強要などだ。部下が心身に不調をきたすケースもある』とあります。

『メンバー一人一人が能力を発揮し成果を出す職場環境を整備する』ことが上司の役割ですから、早急に解決しなくてはならない深刻な問題ですよね。(そもそも上司としてふさわしいのか事態を考える必要があるかもね)

これらの課題を解決するために企業が取り組むべきこととして記事では以下のような対策が挙げられています。

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多くの会社では何かをやるときに時間がかかります。通報窓口を設置したり、ルールを制定するのを待つ必要はないのです。職場で上司によるハラスメントが起きていと伝える「警告シグナル」を出して、解決するためのアクションを人事や経営に考えて提言することができます。

もし警告シグナルを出すことや提案によって何らかの不利益が生じたり、真剣に耳を貸さない、変化しようとしない組織ならば、見切りをつけて外の機会を探す選択もあります。そんな組織にとどまるのは時間の無駄です。社員がだまっていれば変わりませんが、社員が辞めれば会社は本気で取り組みます。

現在、日本企業の一番大きな課題の一つとして「ダイバーシティー&インクルージョン(多様性と包括を組み合わせた言葉で、多様性を受け入れて活かし合うという意味)」があります。
『ダイバーシティー&インクルージョン』とは、社員個々の「違い」を受け入れ、認め合い、経営に生かしていくことです。真のダイバーシティを追求するならば、組織の幅広い社員と対話する機会を通して、積極的に社員の「異なる」考えや意見を聞くことから始めることです。

「うちの会社はダイバーシティを推進してますよね?社員に主体性を求めていますよね?社員の職務満足度があがり、成果が向上する職場にするアイデアです。ぜひ聞いてください」

この言葉は効くと思いますのでぜひ試してみてください。

社員に変化を求めているならば、それを求める経営や人事も同様に変化を受けいれる覚悟を持つべきです。

あなたの声は組織の発展につながります。自分を信じて「モノ言う」社員に変身し、組織内に「モノ言う」仲間が増えるように働きかけましょう。

「モノ言う社員」の声の束が、日本企業の変革を後押しする大きな原動力になると信じています。

糸島 (1)