センスメイキングとリスキリング
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センスメイキングとリスキリング

新城健一(ホオバル取締役、Holoeyes取締役兼CSO)

センスメイキングとキャリアプラン

有名なセンスメイキングの事例をご存じの方も多いかと思います。アルプス山脈にて、吹雪の中で遭難したハンガリー軍の部隊。隊員の一人が持っていた地図を頼りに下山を試み、猛吹雪の中、なんとか無事に生還しました。しかし、その地図は、アルプス山脈のものではなく、ピレネー山脈の地図だった、というものです。

この逸話は、センスメイキング理論を説明する事例として、数多く語られています。誤った地図であっても、それを信ずることで行動を起こすことができる。不測の事態に陥った状況であっても、その状況を把握し、意味付けを行いながら行動し、進んでいく。

組織として直面する不測の事態への対応策として覚えておこうと思いつつ、ふと自分のキャリアパスを振り返ったときに、似たような感覚を持っていたことに気づきました。

リスキリング

学び直しの必要性を訴えるような記事が大変増えてきています。何を学ぶべきなのか、何を学べば、次のキャリアにつながっていけるのか。「何を」というところからの模索が、多くの迷いが生まれ、それがこうした多くの記事を生んでいるように思いました。

まさに、不測の事態に陥って、次にどう動けば良いのか迷っている。その迷いの中で動くためにリスキリングが求められているのかもしれません。

キャリアチェンジとリスキリング

僕自身のキャリアパスを少し書かせてください。

小学生の頃から目指していた漫画家。担当編集者がつき、デビューを目指しながらも、挫折を経験した20代前半。ライターとしてキャリアをスタートさせ、文章で生活を成り立たせていた20代後半。インターネットビジネスに関わりながら、コンテンツを作る立場から、キャリアチェンジに模索した30代。事業をつくるということ、経営に関わるということに挑戦した40代。そして、ベンチャー企業を経営するようになった50代。

詳細は、以前書いたので、もしご興味持っていただけたらご一読ください。

この紆余曲折のたびに、多くのことを学びました。まさに、リスキリングしてきました。振り返ってみれば、リスキリングしてからキャリアチェンジしたのではなく、チェンジしてから大慌てでリスキリングしてきました。スキルに後押しされてキャリアを変えたのではなく、状況の変化に対応するために、必要に迫られてスキルを身につけてきたという感じです。

好きな状態を探す

スキルがない中で紆余曲折する。この動きを支えてくれているものが、最初の挫折のとき、漫画家を断念したときに見出した「地図」だと思うのです。

「存在していない世界を思い描いているときが好き」なんだと、自分の好きを抽象化しました。「〜描いていることが好き」なのではなく、「〜描いているときが好き」つまり、具体的な行動そのものではなく、それをしている状況や状態が好きなのだと考えました。「だから、漫画家ではなくともいいんじゃないか」と、折り合いをつけたのです。

20代前半での挫折のときに、なんとなく抽象化して思い描いたものを、それから20年以上かけて、幾度となく反芻して、これが僕にとっての地図となっています。

自分なりの意味付け

この地図があるからこそ、不測の事態、つまりキャリアの危機のような状況に陥ったとき、仕事がどうしてもうまくいかないとき、このままここにいるとヤバそうだなと思ったときに、次の一歩が踏み出せます。

状況を把握して、自分がどこに居心地の悪さを感じているかを考え、その状況を自分なりに解釈し、地図と見比べることで自分なりに意味付けられます。

この自分なりの意味付けが、とても大切で、不安定な状況の中で、足場となってくれました。足場があれば、一歩が踏み出せます。その意味付けにそって、「それなら、どう動けば、今よりマシかな」と可能な範囲での一歩を考え、同時に「どう動けば、地図にそった先に進めそうかな」と、少し遠くまで目をこらすこともできるようになりました。

自分なりのスキルの組み合わせ

そして、リスキリングしていく中で、新たに身につけるスキルと、それまで持っていたものの中で使えそうなものを組み合わせて、自分なりのスキルを作り出していく。毎日が、そのくり返しと積み上げのように思います。それは、今でも変わらずに。それまでのスキルが通用しない状況に身を置けるということは、伸びしろを得たことなのだと思うのです。能天気かもしれませんが、「伸びしろしかない」と思うこと。それもまた、地図のひとつかもしれません。

ミクロとマクロは常に相似形だと思います。アマゾン川流域の衛星写真と生ハムを光に透かして見たときに同じような景色が見えるように。センスメイキング理論について、経営の観点から、心理学の観点から、さまざまなに語られています。それと同じことは、自分の個人のキャリアを考える上でも、とても似ていると思うのです。

地図があれば、より身軽に生きていくことができると思うのです。

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新城健一(ホオバル取締役、Holoeyes取締役兼CSO)
サービス多様性爆発カンブリアナイト_主宰。(株)ホオバル取締役_新規事業創出支援、ホロアイズ(株)取締役兼CSO_医療VR、ミスルトウ_コンテクストデザイン、(社)ライフロングウォーキング推進機構_理事、(社)医療リテラシー研究所_理事、学芸大こども未来研究所_教育支援フェロー