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【決定版】 2024年 エンタメスタートアップ
アニメ・漫画などのエンタメビジネスをアップデートするスタートアップ、株式会社MintoのCEOの水野です。2024年は新たにドラマに進出しました。
ということで、2022年、2023年に続き、今回で3回目!水野が2024年に気になった国内「エンタメ×スタートアップ」の動向をまとめました。今年は、エンタメビジネスの追い風を感じることが多かったと思います。
約1万字の長文noteですが、全て読めば、新しいエンタメコンテンツとビジネスの潮流が掴めると思いますので、ぜひ、年末のお時間ある時に、お読み頂ければ幸いです。
①VTuber / 2.5次元IP
VTuber領域は、上場した2社(カバー社、Anycolor社)の売上が堅調です。カバー社は、9月20日に販売を開始したトレーディングカードゲーム『hololive OFFICIAL CARD GAME』のヒットを受けて第2四半期累計の業績予想の上方修正を発表しました。YouTubeでのスパチャ(投げ銭)ではなく、グッズ、イベントなどへの売上シフトがより明確になっています。
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上位5名のVTuberはホロライブ所属。TOP10の売上総計は横ばい。
「ぶいすぽっ!」「RIOT MUSIC」等のVTuber関連事業を手がけるBrave Groupは、3月に三井不動産とテレビ朝日から資金調達を実施しました。本資本業務提携では、商業施設等でのイベント協業を示唆しており、こちらもイベントやグッズ展開での拡張が見受けられます。
ゲームや音楽の展開で活躍の幅を広げるVTuberが増え、2024年はYouTubeからTwitchへの進出も多く見られた年だったのではないでしょうか?
Twitchによれば、新規ストリーマー数は951万人、アクティブなストリーマー数は2100万人、配信時間は9億時間、視聴時間は203億時間、世界で1番配信されたカテゴリーは「グランド・セフト・オート V(GTA5)」、アジアで最も配信されたカテゴリーは「VALORANT」と発表されています。その中でも「VTuber(VTubing)」のタグが付けられたライブ配信は1,100万本を超えました。
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最も配信された「GTA5」は14.61億時間視聴
その他のプラットフォームでも、17LIVE Groupは、Vライバープロダクション「NexuStella」「V-iii」などを運営してVTuber/VLiver事業を強化し、「獅子神レオナ」「花鋏キョウ」など音楽系のVTuberが所属している事務所「Re:AcT」を運営するmikai社をM&Aしています。
バーチャルシンガー「花譜」「理芽」が所属し、そのほかにも様々なアーティスト・映像作家等が所属する「KAMITSUBAKI STUDIO」レーベル運営のTHINKR社は、VTuberという枠組みには限らないものの、こうした流れの中、2024年8月にエイベックス・グループから独立し、総額50億円の資金調達を実施しました。出資者には、阪急阪神ホールディングス、JAFCO、Cygames、KDDI、Yostarなど様々な企業が並んでいます。
2.5次元IP領域では、STPR社が引き続き順調に事業を拡大しています。昨年は年末の紅白に「すとぷり」が出演するなどの大きな飛躍を遂げた事業面以外にも、上場会社への出資(モイ、UUUM、AppBank)等が、話題になりました。2024年も引き続き、多数のM&Aや出資を行なっており、自社HPのNewsで公表されているだけでもVRイベントなどを手がけるGugenka社やVLiver事業のボンド社などの8件の買収が確認でき、その他も出資が見受けられます。
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同じく、2.5次元領域では、歌い手グループ『いれいす』『すたぽら』『シクフォニ』が所属するVOISING社も順調です。同社はUUUM社の持分法適用関連会社(49%保有)でしたが、UUUM社は5月末に同社の株式を譲渡したことを発表しています(譲渡先は非公表)。同社は、2月に武道館公演、11-12月にはドーム公演(ベルーナドーム)を成功させています。
ウタイテ社は、『すぱどり』『きみとぴあ!』『BUFFLASH』『こはならむ』などを擁して事業を展開しています。2024年には、大規模な資金調達を実施し、2024年4月、5月、8月の3度に分けて資金調達を発表。Sony、電通、KDDI、バンダイナムコ系のファンドから調達し、累計資金調達額は49億円に達したことを公表しています。
②縦型コンテンツ
次にスマホに最適化された縦型エンタメ&コンテンツ市場の広がりを追っていきましょう。代表的なコンテンツは縦型漫画のWebtoonと、縦型ドラマのショートドラマです。
2024年は、Webtoon原作としては最もヒットした作品「俺だけレベルアップな件」(原作・原案Chugong、作画DUBU(REDICE STUDIO)が、1月から日本のアニメスタジオA-1 Pictures社制作で、テレビ&ネット配信アニメシリーズとしたことがエポックメイキングでした。結果的には、日本のテレビ放映以上に米国を初めとする海外ネット配信でヒットし、IPとして派生展開されたゲームの売上は1.4億ドル(210億円)超に達するなどの成功を収め、アニメ2期制作も決定しています。
国内のWebtoonスタジオからも月商で億単位のヒットが生まれています。2023年に月商1億円超の作品となった「神血の救世主~0.00000001%を引き当て最強へ~」を制作するナンバーナイン社は2024年は、2作目の「俺だけ最強超越者~全世界のチート師匠に認められた~」もヒット。
ソラジマ社は、コミックナタリーが主催するユーザー参加型の漫画賞「タテ読みマンガアワードに『かたわれ令嬢が男装する理由』7作品がノミネートされるなど、多数のヒット作を生み出しているだけでなく、インドネシアの漫画制作スタジオへの出資も行なう等、制作体制を強化しています。
他にも、YouTubeアニメで実績があるPlott社が、新たにWebtoon制作へ参入し、ヒットも生み出しています。YouTube動画も、既存の横型動画以上に、縦型ショート動画の視聴が急増していて、Webtoonとショート動画でのノウハウ連動やメディアミックスをさせたコンテンツ/IP作りは今後のポイントになりそうです。Plott社は12月に10億円の資金調達を発表しており、2025年のショートアニメ配信アプリ提供も示唆しています。
Webtoonの次に来ている縦型コンテンツのトレンドは、縦型ショートドラマです。中国のTikTokから始まった縦型ショート動画の流れは、無料のUGC(ユーザー発)コンテンツだけでなく、プロコンテンツへも波及し、1話課金型のショートドラマ配信アプリが誕生しました。中国勢だけでも、ReelShort、Dramabox、TopShort、ShortMaxなど、10アプリ以上が日本及びグローバル展開をしており、1作品で数億円の課金収入に達しているドラマも出て来ています。
国内のスタートアップとしては、2022年にリリースしたショートドラマ配信アプリ「BUMP」を運営しているemole社が頭一つ抜けた存在です。TikTokやYouTubeショートでの切り抜き動画によるマーケティングを重視し、有償プロモーションを行わずにアプリの総ダウンロード数は160万を超え、Z世代を中心に新しいドラマファン層へリーチしています。
BUMP向けには、既存のテレビ局や大手メディアもコンテンツを提供しています。テレビ東京、フジテレビ、ABC、朝日新聞 等々がドラマ制作に参画するなど、新しいメディアへの期待が感じられます。
BUMP以外にも、ショートドラマ配信アプリの参入は増加しており、弊社(Minto)も、ドコモ スタジオ&ライブ社とFANY社(吉本興業グループ)との共同事業で「FANY :D」を12月にリリースしました。
他にも、株式会社ハイボールの「SWIPEDRAMA」、フジテレビの「FOD SHORT」、DONUTS社の「タテドラ」などがリリースまたは発表されています。ショートドラマ配信アプリは作品数を担保するには一定の資金力が必要で、2025年はプラットフォーム間での競争が激化すると思われます。
制作スタジオでは、縦型ショートドラマクリエイター『ごっこ倶楽部』を運営するGOKKO社が、JAFCO、日本テレビ等から11億円の資金調達を発表しました。既に『TikTok上半期トレンド大賞2024』を獲得し、課金型のショートドラマでもソラジマ社原作のWebtoon「シンデレラコンプレックス」のヒットなど実績がある同社の展開には注目が集まっています。
他に、ショートドラマのスタジオとして勢いがあったのは、TikTokでよく見るドラマを制作している、こねこフィルム社。課金型ショートドラマの市場が盛り上がって来るとドラマスタジオは続々と増えて来そうです。2024年は縦型動画や縦型ドラマがYouTubeやTikTokで自然に流れて来る1年でしたからね。
③XR / メタバース / ゲーム
2022年頃の勢いに比べると派手さはなくなりましたが、ユーザー数は着実に増えて来ている、XR / メタバース領域。企業や地方地自体がメタバース活用するBtoB事業は一旦落ち着き、改めてBtoC事業として、プラットフォーム提供 or コンテンツ提供、ゲーム or ゲーム以外など、様々な模索が続いています。
2023年に52億円の資金調達を行ったクラスター社は、独自のメタバースプラットフォーム「cluster」の7周年、200万ダウンロード達成を発表。企業とcluster上のクリエイターをマッチングするクリエイタージョブズ社の受注額が5,000万円を突破した発表を同時にしており、引き続きプラットフォームのエコシステムを強化している模様です。
この領域での、プラットフォーム立ち上げの新しい動きは少ない中で、ambr社は、ユーザーが3Dアバターと3Dルームをカスタマイズしソーシャル連携も可能なアバター集中支援アプリ「gogh(ゴッホ)」をリリース。非常にオリジナリティあるコンセプト/UI/UXで、海外ユーザーへも拡大し、どこかでブレイクスルーがあるんじゃないか?と期待させるサービスです。
プラットフォーム立ち上げ関連は少ないものの、海外のプラットフォーム向けの制作スタジオや支援事業についての動きは活発化しています。
米国向けに圧倒的なユーザー数を誇るRoblox向けには、GeekOut社、講談社、DEVLOX社が"「進撃の巨人」エクスペリエンス制作コンテスト"を実施。ミラティブ社はRobloxのゲームデベロッパー/パブリッシャー向けに広告ソリューションを発表しました。住友商事は2024年からRobloxでの事業を本格化させ、スタートアップとの協業(Adavito社や弊社(Minto)との協業)もいくつか発表しています。
MetaQuest向けなどのVRゲームでは、MyDearest社が、自社ゲーム開発だけでなく、パブリッシング事業を開始し、国内外のゲーム会社の支援/協業を開始しています。大ヒットしたKOTAKE CREATE開発のゲーム「8番出口」のVR版として、MetaQuest版、Steam版の「8番出口 VR」を同社が手掛けるなどの事例が出ています。
ソーシャルゲーム市場の環境が厳しくなる中で、Roblox/Fortnite向けゲーム、Steam、VRゲームなどでは個人クリエイターや中・小規模なチームの存在感が増して来ています。この領域は、ベンチャーキャピタルや投資家が、カバーし辛い領域です。
2024年1月にXboxやSteam向けにリリースされたポケットぺア社のゲーム「Palworld」は、この規模の開発人員(30-50名程度)のゲームとしては異例の1ヶ月で2,500万人のユーザーに達する大ヒット作になりました。そして、7月には、ソニーミュージック、ポケットペア、アニプレックスの3社でジョイントベンチャーを設立しました。
一方で、「Palworld」についてはリリース当初から様々な法的な課題が指摘されており、2024年9月に任天堂社がポケモン社と共同で、ポケットペア社に対する特許権侵害訴訟を東京地方裁判所に提起したことを発表しました。今後どのような展開になるのか注目されています。
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インディーゲームのトレンドに於いては、個人クリエイターをどのような形で支援していくかも注目が集まります。講談社はゲームクリエイターズラボで個人のゲームクリエイターを最大年間1,000万円の制作資金として支援しています。同社のメンバーが編集者として寄り添いながら、パブリッシャーとして関わるというスタイルで、「違う冬のぼくら」などのヒット作も生まれています。
2013年から京都で開催されているインディーゲームの祭典「BitSummit」は「国内のおもしろいインディーゲームを海外に向けて発信していく」をテーマにして認知を得ています。2024年は、同イベント運営の村上氏などが、東急不動産と組んでShibuy Sakura Stageに創ったクリエイターの遊び場「404 NOT FOUND」をスタート。イベントスペース、本屋(TSUTAYA)、飲食店舗がワンフロアで仕切りなく接しているのが不思議&面白い雰囲気です。
④AI × コンテンツ
生成AI × コンテンツ領域では、様々な取り組みが発表されていますが、課題解決視点で分かりやすいのが、AIを活用した翻訳での活用です。
日本アニメの世界的なヒットが続く中で、原作漫画の海外展開は翻訳がボトルネックになり、スピーディーに進んでいないという課題があります。漫画は、イラストとテキストの不規則な配置、独特な話し言葉や表現、ストーリーの背景にある複雑な文脈など、翻訳難易度が高いためです。
この翻訳領域ではMantra社とオレンジ社の2社が資金調達を発表しました。共通しているのは出版社との協力体制です。Mantra社には、集英社、小学館、KADOKAWA、スクウェア・エニックス、オレンジ社には、小学館などの大手出版社が出資をして協力体制を作っています。全出版社が海外での違法マンガ配布には課題を感じているので、早々に解決できれば本当に良いですね。
また、AI×音声領域でも海外展開への取り組みが始まっています。CoeFont社は、声優事務所大手の青二プロダクションと提携して、AIを活用したグローバル戦略パートナーシップを締結しました。声優事務所との提携だと、アニメ作品の音声翻訳にも期待が集まりますが、プレスリリースでは"アニメーション、外国語映画の吹き替えなど「演技」の領域に関わるものにはサービスを提供しない"と明記しています。この辺りは業界内調整、ファンへの配慮など時間がかかる部分かもしれません。
AI× アニメでは、Creator's XがAI時代のアニメ制作会社を標榜し、12月に資金調達を実施しました。同時にAIアニメ制作に強いK&Kデザイン社をM&Aを発表しています。既存のアニメ制作会社とテクノロジーを組み合わせたアプローチでアニメ業界の課題になっている制作負荷や人員不足を解決していく事ができるかがポイントになりそうです。
2023年設立のAiHUB社は、経産省及びNEDOが実施する国内生成AI開発力プロジェクト「GENIAC」に「日本のアニメ産業活性化の為のアニメ分野特化型基盤モデル開発」で採択されています。
GENIACでは、生成AI基盤モデル開発者(社)とデータ・生成AI利活用実証事業者(社)で、大手からスタートアップまで様々な企業が採択されています。世界中で生成AIスタートアップが注目される中、日本では、国内スタートアップへの投資・サポートは少ない印象で(VC視点で見た時に勝ち筋を描き辛いのか?)、GENIACや国のサポートは要チェックです。
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AIによる課題解決ではなく、AIによる新しいエンタメコンテンツとしては、AI × VTuber(AI Tuber)周辺も触れておきます。
2023年に自律コミュニケーション型VTuberのAI VTuberとして誕生した「紡ネン」は、YouTubeの登録者数は10万人、Xのフォロワー数は2.5万人とファン数を増やしています。徐々に進化してきている!気がします。
VTuberカルチャーが引き続き発展する中、AI VTuberがどのような形で発展していくのかはまだ未知数ですが、3Dアニメーションの動き、チャット欄でのユーザーとのやりとり、音声合成技術等、進化の余地はありそうです。AI VTuberの課題については、ろてじんさんがnoteにまとめています。
また、国内では事例がない(トークン発行の法規制の為)状況ですが、AI VTuberと AIエージェント(人間に変わって自動的にタスクをこなすプログラム)と暗号資産(及びwallet)を組み合わせて、"自らトークン発行し経済圏を作るAI Vtuber型のエージェント”も面白い動きです。少し未来の話かもしれませんが。
⑤Web3 / ブロックチェーン / トークン
米国でのトランプ大統領の再選に伴い、米国内での暗号資産関連の規制緩和が期待され、ビットコインを初めとする暗号資産の価値は急激に上昇しました。2022年頃のWeb3ブームは1年程で暗号資産価格の下降と共に一気に熱が下がっていましたが、改めて暗号資産以外のブロックチェーン領域でのプロダクトや事業まで再燃するかに注目が集まっています。
日本発のブロックチェーン「Astar Network」を開発するStartale Labsは、2024年3月にリリースした「Astar zkEVM」を、8月に、Startale Labsとソニーグループとの合弁会社 Sony Block Solutions Labs が開発する新しいブロックチェーン「Soneium」に移行すると発表しました。
Soneiumのチェーンには様々なグローバルWeb3プロジェクトがパートナーとしてラインナップされていますが、エンタメ視点だと、ナナメウエのSNS"Yay!"のSocial-Fi化(11月にYAYホワイトペーパーを公開)と、秋元康氏が総合プロデューサーを務めるエンタメプロジェクト"Yoake"辺りの動向が気になるポイントでしょうか。
2024年のブロックチェーンゲームは、世界で9億人以上が利用するメッセンジャーアプリ「Telegram」内でプレイできるTelegramミニアプリ(TONブロックチェーン上のアプリ)がトレンドでした。Tap-to-Earn(≒ポイ活)ゲームの「ハムスターコンバット」は、7月には3億アカウントを突破したと推測されています(その後急下降をしてはおりますが…)。
日本からも、いくつかのゲームがリリースされていますが、「キャプテン翼」のIPを用いた「Captain Tsubasa -RIVALS- on TON」(MintTown社とBLOCKSMITH社が共同開発)のゲームとユーザー動向は、気になりますね。
IPの活用という点では、Slash Vision Labs社が、8月に「ちぃたん☆」をテーマにした公式トークン「Chiitan☆Coin(CTAN)」プロジェクトとのパートナーシップを締結したと発表。Chiitan☆Coin(CTAN)は、12月に暗号資産取引所ZOOMEXへの上場も果たしました。いわゆるミームコインブームも2024年のトレンドでしたね。
国内では、2023年にCoincheck社でIEOを実施したフィナンシェ社のコミニュティサービス「FiNANCiE」が、令和の虎などを巻き込んで、マス向けの浸透が活発化しています。スタートアップ界隈の人たちが忘れた頃に一般化するのが世の常とも言えるので、面白い流れだと思いました。
⑥IPエージェンシー / イベント / グッズ・物販
さて、エンタメ、クリエイター、IPの国内外のビジネスが多様化し、拡大してきてくると、広告やIPのエージェンシーとしての役割、イベントコラボ、グッズ販売する企業も進化してきます。
BitStar社は、SNS・動画メディアのクリエイターエージェントや、インフルエンサーマーケティング、D2Cで事業を拡大しており、8月にはソニーミュージックとエンタメ特化型インフルエンサーマーケティングの新ブランド「Viralot」設立や、D2C領域での協業を目的にマツキヨココカラ&カンパニーのCVCファンドから出資を受けるなど、アライアンスを活発化しているのが分かります。
全国のエンタメ施設を定額で利用できるレジャパスを運営するオリグレス社は、エンタメ施設との接点を活用し、IPソリューション事業としてアニメ・アイドル・K-POP・ゲーム・Vtuberなどの人気 IPを活用した事業展開を活発化し、2024年12月には、ITメディア社と資本業務提携を発表しています。
IPの海外展開ニーズも変化&増加しており、例えば、東宝はシンガポールにIP事業拠点を設立、国内のIPホルダーが海外企業に頼る以外の選択肢を模索し始めています。そういった流れの中で、弊社(Minto)も日本のIPを海外展開する日本の会社としての立ち位置を強化しており、9月には、ちびまる子ちゃんのタイのマスターライセンシーの権利を獲得したことを発表しました。
グッズ領域では、引き続きステルス(あくまでスタートアップとしては)で、同領域の上場企業と遜色ない規模に成長していると思われるarma bianca社や、オンラインくじ領域で事業成長をし、ユナイテッド社の子会社から外部資本を受け入れてカーブアウトしていくと予測されるフォッグ社などの動きに注目しています。
⑦政府・経済界の動向
経団連からコンテンツ産業への政策提言は2023年の提言に続き2年連続で行われました。2024年の提言では「コンテンツ省」や2,000億円の予算規模まで踏み込んでいます。
この提言に呼応するように内閣では、2024年4月に、第26回新しい資本主義実現会議で、官民連携によるコンテンツ産業活性化戦略が議論されています。この議論や動向はスタートアップに限った動きではありませんが、エンタメコンテンツ分野全体の動きの中で、スピード感を持って対応するスタートアップの役割は大きいと思います。以前書いたこちらの記事もぜひお読みください。
下記のスライドなどは、最初に見た時は「なぜ輸出規模で鉄鋼産業や半導体産業と比較したのだろう?謎」と思いましたが、各所でそのまま「コンテンツ産業の輸出規模は、鉄鋼産業と半導体産業と同規模」と引用されているのを見ると、意義があった…!と思います。
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⑧最後に
さて、今年も約1万字のエンタメスタートアップのまとめ記事でしたが、いかがでしたでしょうか? 最初に記事を書いた2022年頃はまだまだエンタメスタートアップが少なく、シード、アーリーステージの企業も数多く取り上げさせてもらった気がするのですが、2024年は既に事業が軌道に乗っている、または急成長中のスタートアップを取り上げただけでもお腹いっぱいの記事になったという感覚です。
裏を返せば、エンタメビジネスの発展とそれに伴う様々なスタートアップ及び事業が成長しているという事なので、もう来年は発展しすぎて、一人で網羅的にエンタメスタートアップの記事を書けないかもなぁ(そしてそれは、産業の発展を意味するので、いいことだなぁ)と、思ったりもします。
最後まで、お付き合い頂きありがとうございました。エンタメビジネスに興味がある方は、ぜひ弊社(Minto)のページ&採用情報もチェックしてください。物好きな方は、水野が日経COMEMOとITメディアに寄稿した記事のリンクも貼っておきますので、そちらもどうぞ!