バランスシートってなに? 日経電子版で学ぶ新社会人の基礎③
ここまで、損益計算書やそれに基づいて書かれた記事について学んできました。次は貸借対照表(バランスシート)を勉強してみましょう。
バランスシートを見れば、その会社がどれくらい現金や資産を持っていて、どれくらい借金をしているかといったことがわかります。
▼日経電子版のビジュアルデータで詳しく解説しています
1.1 バランスシートの中身~資産の部
まずは資産の部です。再びローソンの決算短信を見てましょう。10ページに記載されています。
資産の部に書き込まれるのは、その企業が持っているお金をどのような形で保有しているか、ということです。例えば、現金のまま銀行に預けていれば「現金及び預金」となります。
さらに資産は「流動資産」と「固定資産」に分けられます。簡単に言うと、短期間でお金に変わるものが流動資産、長期間持っているものが固定資産です。
流動資産には現金や売れたらお金に変わる「商品」、まもなく手元に入ってくることになっているお金である「未収入金」などがあります。
固定資産には土地や建物などの目に見える「有形固定資産」、ソフトウェアや「ローソン」という商標など目に見えない「無形固定資産」が含まれます。
1.2 バランスシートの中身~負債の部
負債の部はローソンの決算短信の11ページに記載されています。
こちらも短期、長期という違いで2つに分かれています。
流動負債は短期で支払わなければいけないものです。金融機関からの借り入れである「短期借入金」や商品の仕入れ費用「買掛金」などが含まれます。
一方、固定負債はすぐに支払う必要がないものです。借り入れの中でも「長期借入金」といったものが主な項目になります。
1.3 バランスシートの中身~純資産の部
純資産の部は負債の部の下に記載されています。
会社の準備資金である「資本金」のほか、営業活動で得た利益を積み立てた「利益剰余金」などで構成されています。
2.バランスシートの見方
だいたいの内容は理解できたと思います。バランスシートを見る際に覚えておいて欲しいのが
資産の部=負債の部+純資産の部
という計算式です。例えば、ある企業が銀行から1000万円借り入れをして、工場用の土地を買ったとします。当然、銀行からの借入金として負債の部が1000万円増えます。一方、資産の部も土地の費用として1000万円増えます。なのでこの数式が成立します。
ローソンのような小売店でいえば、仕入れをして負債の部の「買掛金」は増えますが、資産の部の「商品」が増えるので、やはりこの数式が成り立ちます。
企業ニュースでは「バランスシートの改善」や「バランスシートを軽く」といった言葉が出てきます。資産でも増えすぎると不必要なものがでてきたり、そのせいで負債が増えたりと、あまり好ましくない、と考えられることが多いです。
そのため、上場企業の多くは事業や使わない不動産などを売却し、負債を減らすことで資産の部、負債の部を減らし「バランスシートを軽くする」という施策をとっています。
この米AT&Tの記事でも「バランスシートの改善」と書かれています。ニュースによれば、あまり重要でない事業を売却して資産を減らし、そのお金で銀行からの借り入れを返済して負債も減らした、ということです。ここでもやはり、資産の部=負債の部+純資産の部が成り立ちます。
3.自己資本比率
バランスシートを見る上で、もう一つ必要な視点は「自己資本比率」です。負債の部と純資産の部の合計に占める純資産の部の割合で示されます。自己資本比率が高ければ、借り入れなどをあまりしなくても事業ができているということになります。しばしば、企業財務の健全性を見るときに使われます。
逆に、純資産がマイナスになることもあります。これを「債務超過」といいます。経営が悪化し、毎年損失を出していると、「1.3 バランスシートの中身」の項目で出てきた「利益剰余金」がどんどん減っていき、純資産もどんどん減っていきます。債務超過になると、資産を全部手放しても負債を返せませんよ、という状態になります。
東芝の2018年の記事を見てみましょう。この頃債務超過に陥っていた東芝は増資=資本金を増やすことで純資産を増やし、「純資産の部」を強化しました。これで債務超過は脱することができるわけです。
東芝の2018年3月期決算短信でも、資本金がグッと増えているのがわかります。
東芝はこのあとさらに、子会社や事業売却で「資産の部」を縮小し、その資金で負債を返して「負債の部」も縮小しました。そうすることで、自己資本比率も高めることが可能になりました。
東芝の2019年3月期決算短信を見ると、どちらも縮小しているのがわかります。
このように、バランスシートを見ながらニュースを見ると、その企業がどのようにお金や資産、借り入れのバランスを取ろうとしているかがよくわかります。
▼もっと詳しく知りたい方はこちら
▼前回までの記事はこちら
決算書を読んでみよう 日経電子版で学ぶ新社会人の基礎①
決算ニュースを読んでみよう 日経電子版で学ぶ新社会人の基礎②
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給与明細を読んでみよう 日経電子版で学ぶ新社会人の基礎④
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