2030年まであと6年半ー日本に残された時間
次から次へと、ブラックスワンが現れる。ブラックスワンは低確率だが発生すると影響が大きい出来事のことだが、ブラックスワンは突然出てくるわけではない。時代には、基本潮流がある。物事には、必然性がある。それを読んだら、観える
2001年に米国同時多発テロ・2008年に米国リーマンショック・2011年に東日本大震災・2016年に英国EU離脱・2020年に世界コロナショック・2022年にウクライナ紛争・エネルギー食糧危機
コロナ第9波始まったかもというが、コロナは世界的にどうなっているの?ウクライナ紛争の戦況報道は二転三転しているが、現地で本当は何がおこっているの?円安なのに日経平均株価バブル後最高値連日更新というが、なにがおこっているの?エネルギー価格の高騰がおさまってきているのに食品をはじめ商品・サービスの値上げが続いているのは、なぜ?多くの人の給料は上がらず生活は厳しいのに、2億円超えるタワーマンションをだれが買っているの?働きたい年配者や女性がいっぱいいるのに、人手不足になっているのは、なぜ?
よくわからない
たしかによく分からないことが脈略無いように見えるが、現在の市場・現場で起こっている「構造」を読み解き、現在につながった「過去」をつかむと、「未来」は観えてくる。過去は「現在」に埋め込まれ、未来は「現在」に埋めこまれている。現在から、未来は観える
1 世の中は連続しているようで不連続
混沌とした時代というが、現在を直視していないから、世の中がどうなっているのか、どうなろうとしているのかが観えてこない
混沌かどうかは、現在を生きている人には分からない。仮に現在が混沌の時代になっていたとしても、現在起こっていることが現実。現在を生きている人にとって、現在が「混沌」かどうかは関係ない。現在を直視して、精一杯生きることが大切なのだ
現在を生きる人にとって、大事なのは現在
明治の人たちは昭和を知らない。昭和の人たちは令和を知らない。コンピューターの出現が分からなければ、インターネットの出現は分からなかった
世の中は連続しているようで、世の中は不連続で、繋がっていないように見えることが多い。現在、私たちはその岐路にたっている。コロナ感染はどうなる?テレワーク・リモートワークはどうなる?ウクライナ紛争はどうなる?2025年大阪・関西万博はどうなる?2030年はどうなる?
絶対こうなるという解像度の高い未来像は見えないが、未来に向けた変化の構造・メカニズムはある。しかし社会を構造的に捉えない人や企業は驚くほど多い。だから、よくわからない、という
2 現代日本の最大の資源は時間である
2030年はどうなるのかー2030年というと、現在から6年半後。2030年の人口構造の状態は、見える。団塊の世代は82歳~86歳となり、団塊の世代の前の昭和世代の人たち、高度経済成長期を築いた戦中世代の人たちは、ほとんど生き残っていないだろう。世代が大きくかわっている
2030年の日本社会を主導する世代は
がらっと変わっている
これからの6年半後の世の中は、大きく変わっている。その2030年において、会社が成長しているのか衰退してしまっているのかは、現代日本の「資源」をどう使うかにかかかっている
では、その日本の資源とはなにか?
資源を『人材』と捉える企業が多いだろうが、日本においていちばん重要な資源は『時間』といえるのではないだろうか?現代日本において、なによりも大事なのは
これからの6年半という時間をつかって
何をするかである
その詳細コンテンツは、その時代時代を生きる人が考えればいいが、この6年半という時間を使って、始められることを始める。現在、新たなことを始めるか始めないかで、6年半後は大きく変わっている
2030年までの6年半という時間という資産を有効利用しないといけない。時間は有期。未来に向けた可能性を有する人たちの時間を奪ってはいけない。新しい人がチャレンジして、何かを立ち上げようとする時間を、年配者は奪ってはいけない
年配者は若い世代の行動に、口を挟(はさ)んだらあかん
若い者でうまくいくのだろうか?大丈夫だろうか?と心配になるだろうが、思う存分にやってみなはれ!と前に立たせつつ、裏で支えるのが年配者の役割ではないか。若い世代が頑張れるように、年配者は、時間という資産を残さないといけない。若い世代のモチベーションを折ってはいけない。自らが、世の中に通用しなくなったと思ったら、若い者に自らの場所を譲らないといけない
3 譲らない年配者と油断している若い者
日本人は変えたくない人が多い。いままでのやり方を変えようとしない人が多い
前例主義—これが日本をダメにした
男尊女卑、学歴主義、純血主義、年功序列が日本にはまだまだ残っている。70歳80歳の経営者がまだまだどっさりいる。経営者の高齢化や前例主義では、混沌時代の日本をさらに弱くする
中国や台湾や韓国は前例にないことをどんどんやって、強くなった。ベトナムやカンボジアは内戦で年長者が亡くなり、若者ばかりになった。だから前例も何もなくなり、若者たちで物事を考え、行動して、大きく成長した
年長者はいつまでも自分の立場にしがみつかずに、若い人に、自分の席をあけなければいけないのに、交代しない。まだ早い、まだまだ若者には任せられないというが、あなたがもし事故にあったら、若い者でやらざるを得なくなる。しかしその
若い人も、油断している
自分が50歳ぐらいにならないと、部長になれない、役員になれない、出番がやって来ないと思い込んでいる。しかし、もし、今、突然、上がいなくなったら、どうなるだろう。残った若い人はやっていけるのだろうか?若い人は、自分の出番になるのはまだまだと油断している。それが
日本を弱くしているのではないか
4 現代は一億総公家時代
現代の年配者は「若い者には任せられない」と言うが、明治維新の志士たちは、若かった。しかしその時代に年配者はいなかったわけではない。いっぱいいた。若い者がうまくいくように、影で支えた
だからできないことはない。若い者に、任したらいい。一方、若い者は、いつ出番が来てもいいように、準備を怠らず、いつでも舞台に上がれるようにしておかないといけない
織田信長は戦国時代のみならず日本史のなかで最大のイノベーターの一人だと言われる。応仁の乱から約100年間続いた戦国時代の日本を統合して、実質的天下人となった織田信長は若くして、それを成し遂げた
桶狭間の戦いの時の織田信長は27歳で、長篠の戦いの時は42歳、本能寺の変は49歳の歳だった
その織田信長は、比叡山や本願寺など既得権益に挑み、楽市楽座などの規制緩和、重商主義の経済政策、兵農分離・鉄砲の大量配備・大量使用などの兵法改革、身分や出自のこだわらない実力主義・人材登用など、前例にとらわれずに、次々とイノベーションを行って、天下布武、天下人となった。信長前と信長後では、世の中は大きく変わった。豊臣秀吉も徳川家康も、実質的には信長の継承者だった
その変革者の織田信長の天下統一の戦略を阻もうとしていたのは、誰か?当然ライバルである、同じく京に向かう戦国武将たちだったが、彼らだけではない。前例・前例と言って、稀代の革命家に抵抗したのが京にいる公家たちだった。公家は、前例があるかないかを判断基準にして、面従腹背で、信長の変革を潰しつづけた。現代社会は、そんな勢力が増えている
現代は「一億総公家」になっている
5 学び直さなくていい人がいるはず。彼らに登壇させたらいい
日本はこのままでは、ITとインターネットとスマホと電気自動車の二の前になると、言い出している。今回は乗り遅れないようにしなければならないというが、なにに乗り遅れそうになっているのか、なにをしないといけないのかの本質・改革の構造を理解できているのだろうか?分かっていないのではないだろうか?つまり
乗り遅れそうな人は、もう主役ではない
若い者はすでにそれをやっているのだから、若い者にさせたらいい。たとえば生成AIも、すでにそれを使っている人に任せたらいい。生成AIをまだ使っていない人が、これから勉強しますといっているが、学び直しをしている間にも、時代は高速で進む。学び直す経営者、会社など、社会は待っていられない。すでに取り組んでいる人、分かっている人、使いこなしている若い者たちにさせたらいい。彼らに登壇させたらいい
今でもインターネット・スマホすら使えない年寄り経営者がいる。メールもできない経営者もいる。そういう人が、DXや生成AIや5Gのある社会、ビジネスを語っても、リアリティがない
会社が時代に乗り遅れない方法は、すでにやっている人に任せる。自分は世の中に乗り遅れていると自覚する人は、それができる人に任したらいい。若い者、できる人に、席を譲ったらいい。にもかかわらず、席を譲らず
「学び直し(リスキリング)」などといっている
仮に松井やイチローが学び直して、現在のメジャーリーグで大谷翔平とならんで活躍する姿を想像できるか?できない。なぜならば松井やイチローであろうと、体力的に技術的に、現在の新たな野球のレベル・ルールに対応できない
そういったらスポーツ選手は実力がなくなれば引退するのは当然だと言うが、企業人経営者も同じじゃないか。世の中の流れに対応できなくなったら、引退しないといけないのではないか
俺はまだまだ頑張れるとか、私以外の人ではこの難局はこなせないと思っているが、データサイエンスやDXを学び直すと言っている段階でアウト。若い者に交代しないといけない。交代してから、学び直したらいい
社会には、会社には、学び直さなくても、できる人がいる。そんなあなたたちの出番である。最大の資産は時間。2030年まで、6年半しかない。時間を無駄にしている時間は、日本にはない。それが現在地。