色々なメタバースプラットフォームとそれぞれの特徴 〜メタバースで押さえたいポイント③
お疲れ様です。メタバースクリエイターズ若宮です。
メタバースについての連載、今日は第3回目ですね。
第一回目はUGCのお話、
第2回のコミュニティの話に続いて、
今日はメタバースの「プラットフォーム」について書きます。
「メタバース」と一口に言っても、「SNS」くらい幅広い
「メタバース」とまとめて言われますが、実はメタバースのプラットフォームにはいろいろな種類があります。
「SNS」をイメージしてもらうと分かりやすいのですが、一口に「SNS」といっても、FacebookやTwitter、Instagram、YouTube、TikTokなど、多種多様なプラットフォームがあり、それぞれのプラットフォームで、機能もコンテンツもユーザーの属性も全く異なります。
例えばTwitter(頑としてXと呼ばない俺)は、短文テキストが中心で匿名性の高いオープンソーシャルで、カジュアルなコミュニケーションが主流ですし、一方Facebookは実名なので(特に日本では)ビジネス的な閉じた繋がりになります(「お会いしたことがある方のみ申請お願いします」)。TikTokは音楽やダンス、ネタ的なショート動画がメインで、facebookとはユーザー層が全く対極です。
「SNS流行ってるよね」と言っても、内実はプラットフォームによって全く異なるので、一口にまとめてしまうと変化を見誤ります。mixiやGREEのように、かつて人気だった日本発のSNSは今はほとんど使われていません(むしろ今では両社は「スマホゲームの会社」としての認知しかないかもしれません)が、SNSサービスとしてのmixiやGREEのユーザー数が減ったからといってSNS全体が衰退したわけではありませんよね。
同じように「メタバース」についても、あまり十把一絡げに語りすぎないよう注意が必要です。
メタバースのプラットフォームもそれぞれ全然ちがう
SNSと同じように、VRChat、Resonite、cluster、Roblox、ZEPETO、spatial…などなど、メタバースのプラットフォームにも色々あります。
そして、それぞれのメタバースプラットフォームはそれぞれ異なる特徴をもっています。
なので、メタバースを体験する際にも大切なのは「自分に合ったプラットフォームを見つけること」かもしれません。あるメタバースが自分には面白くなかったとしても、別のメタバースを楽しめるかもしれません。いろいろな選択肢があるというのがメタバースの魅力でもあるので、一つで判断せず色々試すといいですね。
同様に、企業がメタバースを活用する際にも「自分に合ったプラットフォームを見つけること」は大事です。弊社は企業からメタバース活用のご相談をいただくことも多いのですが、このポイントはけっこう見過ごされていることが多いようです。
10代の女性にアピールしたいのにFacebookを使って施策しても効果は出ませんし、若い女性をターゲットにするならもっと適したプラットフォームがあります。Facebookで結果が出なかったからと言って「SNS施策は効果が薄い」と判断してしまうのは、施策の検証の仕方がはじめから誤っています。大事なのは目的に合ったプラットフォームを選ぶことなのです。
SNSと同様に、メタバースは今後もさまざまなプラットフォームが出現し、栄枯盛衰を繰り返しながら、10年くらいかけていくつかのメタバースに徐々に収斂していくでしょう。また、どのプラットフォームが人気か、というのは世代によっても大きく変わってくるはずです。
今日は、5つのメタバースプラットフォームをご紹介します。国産のものも含めるとさらにたくさんのプラットフォームがありますが、その中でもUGCのメタバースで、グローバルに人気のものを中心に紹介してみます。
(なぜならメタバースクリエイターズは日本に限らず、グローバルでクリエイターが活躍できる機会を増やすことをミッションとしているからです。野球界ではオオタニサンが世界トッププレイヤーとして活躍してますが、それも野茂英雄さんのようなメジャーリーグに挑戦した日本人がいたからこそ。「グローバルが身近になる」とクリエイターの可能性も大きく開くと信じています)
①自由度の高いVRメインの世界『VRChat』
まずは『VRChat』。僕自身一番多く時間を費やしているプラットフォームです。VRChatはVRがベースで「ソーシャルVR」の代表とされることもあります。
とはいえVRは必ずしもマストではありません。VRChatは、Meta QuestやValve index、PICOなどのVRヘッドセットを使って楽しむこともできますが、ゲーミングPCなどGPUが一定以上のwindows機があれば、PCでも入ることができ(『デスクトップ勢』と呼ばれたりします)、実際、海外ユーザーではPCユーザーの方が多い印象です。さらに昨年からはAndroidスマホからもアクセスできるようになりました。
しかしそれでもやはり『「VR」Chat』と名前に冠されているように、「VR」から入るのが一番楽しめるでしょう。
VRChatは自由度が高く、Unityを使って、かなり凝った3Dのゲームやコンテンツを作成しアップロードできます。アバターの細かいboneの動きや目や表情のトラッキング、特定の操作で発生するエフェクトなど自由度が非常に高く、様々な体験が生まれています。
ユーザーの平均年齢はグローバルでは20台前半のかんじですが、日本のユーザーは、グローバルに比べて5歳〜10歳くらい年齢層が高い気がします。
VRChatは、深く探求するユーザーとライトユーザーのバランスが取れていて、深く探求するユーザーは、さまざまなこと実験して新しい遊び方を発明していき、初心者ユーザーはそうしてコアユーザーがつくったコンテンツを楽しみます。そして長く遊ぶようになると、徐々にUnityやblenderを使い始めるなど、沼にハマっていくわけですが(笑)
②圧倒的に若いゲームメタバース『Roblox』
次に『Roblox』。なんといってもRobloxの驚異的なのはユーザー数の多さです。月間アクティブユーザー数は2.2億人と言われており、もはやfortniteと同等の規模になっています。
さらにすごいのはデイリーアクティブユーザー数で、なんと毎日7000万人が遊んでおり、Robloxでは1つのワールドで同時接続数が1万人を超えることもザラです。
元々PCオンラインゲームなのでアクセスはPCがメインですがPS4とPS5にも対応。open betaでVR版も出ているので今後はVRで遊ぶユーザーも増えてくるでしょう。
ユーザー層はVRChatよりもだいぶ若く、メタバースプラットフォームでは最も若年層で、13歳以下の利用者が半分と言われており、小学生からRobloxで遊び始め、中学生になると自分でワールドを作るようになり10代でクリエイターとして活躍している、みたいなケースも多いのがRobloxです。
③Z世代女性に人気のSNSライクな『ZEPETO』
続いて『ZEPETO』。
これはバーチャル版のInstagramやTikTokと言った感じで、いわゆるメタバース的な3Dワールドもあるのですが、フィード機能があるのが特徴です。自撮りや友達との写真(勿論アバターの)をアップしたり、動画投稿ではいろいろなエモートモーション(K-POPアーティストとコラボしたダンスも)でアバターが動く動画を投稿することができ、ライブストリーミングもあってまさにInstagramやTikTokをアバターで楽しんでいるような感じです。
総ユーザー数は4.6億人と言われており、スマホからのアクセスがほとんどでアクティブユーザー数もかなり多く、特にアジア圏、韓国や中国のマーケットにのZ世代やα世代に浸透しており、なによりも「女子」が多いのがZEPETOの特徴です。
④ブラウザベースでNFTも使える『spatial』
続いては『Spatial』。Spatialの最大の特徴はブラウザからアクセスできることです。専用アプリが必要なVRChatやRobloxとは異なり、PCからなら↓をクリックするだけですぐに立ち上がります。
かつ、Quest用のアプリもあってVRヘッドセットからも入れます。
当初MetaのHorizon Workroomsのようなビジネスツールとしてスタートしたのもあり、Spatialのユーザー層は比較的年齢が高め。その後ビジネスツールとしてはあまりうまくいかずに、NFTブームに乗ってMetaMaskとの連携も開始し、NFTアートを展示・販売できるプラットフォームへとシフトしました。しかしこれもあまりうまくいかずに最近はRobloxのようなゲームメタバースにピボットしたのでユーザー層が若返っている感じもあります。
ブラウザからのアクセスにスマホのアプリもあり、アクセシビリティは各種メタバースの中でもかなり高いのですが、といってユーザー数や滞在時間で有利かというとそうでもない気がします。これはまたどこかで書こうと思いますが、参加ハードルが高いプラットフォームほど入った後のハマりや熱量が高まり、参加しやすいとかえって熱量が低い、みたいなのがコミュニティの面白いところです。
spatialは、UnityのSDKも出てアバターやワールドの自由度が上がっているので今後に注目したいところです。(↓オリジナルアバターも持ち込むことができます)
⑤イベント特化型の国産『cluster』
そして最後に、日本発のメタバースプラットフォームである『cluster』。
clusterはイベントに特化しているのが特徴で多くの人数を集めることが可能です。ほかのプラットフォームではだいたい同じ空間に約50人が限界ですが、clusterでは公開イベントでは500人まで集まることができます。
ずっとそこに居るよりもお目当てのイベントを見に集まる、というところがあり、clusterを使ったことはあるけど一回だけで終わってしまったり、VRChatなどに比べると滞在時間は若干短めなところは課題ですが、イベント主催者を含め、徐々にコミュニティ化して利用も増えてきている印象です。
とくに日本ではclusterはある程度イベント特化型のポジションになっていて、VRChatと併用されることも多いです。
以上のように、「メタバース」と一口に言ってもプラットフォームごとに特徴があり、それぞれ異なる世界が広がっています。個人で楽しむ際も、企業がメタバースを活用する際も、利用が深まり定着するためには目的や自分の属性含めた相性が大事なのです。
メタバースをしっかり楽しむためにも、市場の盛り上がりを見誤らないためにも、それぞれのプラットフォームを使ってみて、ちがいや特徴も知っていけるとよいですね。