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「仕掛け人」として「連帯感作り」に目覚めた学園祭編 〜 気づいたら「個人内多様性」を獲得していた自分が、今までのキャリアでやってきたこと<vol.02>

いろいろな仕事に関わるあまり、自分の仕事を一言で表すのにいつも苦労する私。前回お伝えしたように、ここから数回は「日比谷のキャリアをひたすら時系列で紹介する」シリーズにお付き合いいただければと思います。

そのまま参考にしていただくのが難しいキャリアなので、変にサマらず淡々とお伝えし、「この部分は参考になるかも」というところをピックアップしていただき、いかに「個人内多様性」を有するキャリアに至ったかを紐解く参考にしていただければという狙いです。

初回記事からの引用

先日、こんな記事を目にしたのですが。

「自然界で弱い存在だった人間。連帯することで生き残るため、共食することを選ぶ。その共食を通して、日本史を描いた本である。」

生き残り戦略として「仲間との共存」があり、連帯感醸成のために、食事を共にする文化が根付いたとのこと。これはフリーランスやプロジェクト型で仕事をする人たちにも通じる話で、都度組成されるプロジェクトでいかに信頼関係を構築するかが求められますね。

前回のバンド編では、「周囲から声がかかる仕組み」に気づいたエピソードをご紹介しました。第2回の今回は、文化祭&生徒会編として「仕掛け人として、チームの連帯感を生み出す」ことの醍醐味を知った話をご紹介します。

「ステージに立つ人」より「裏で仕切る人」

中学・高校とバンド活動を続けていましたが、バンド活動自体に特別に強いパッションはなく、主な目的は音楽仲間とつるむことでした。と書くとパッション溢れるメンバーとぶつかって辞めそうな展開ですが、私がなんだかんだで自主的にバンド活動を続けていたのにはもう一つ理由がありました。それは、ライブの段取りや企画を考える楽しさに目覚めたことです。文化祭や音楽イベントに参加するだけでなく、知人宅の駐車場を借りてバンドの練習場を作ったりと、やりたいことをやるために「場」を作っちゃう傾向は当時からあったのだなぁと思います(そのまま大人になり、数年間ロックバーを経営していたりもしました)。

「裏方志向」の始まりです。

仕掛ける先に、連帯感の醍醐味を知る

仕事でご一緒したことのある方には察していただけるかもしれませんが、私のいう裏方とは単に控えめで献身的な縁の下の力持ち的ポジションというよりも、「表には出ずに全体をグリップしてコトを動かす(その代わりに責任も負う)役割」。その楽しさに目覚めた私はバンドだけでは飽き足らず、生徒会と学園祭の実行委員会に活動の場を広げました。ステージに立つ人になるよりも、その出演権を仕切って舞台袖から全容を俯瞰するのが楽しかったのですね。

当時人気絶頂だったU2のツアーを真似て大型スクリーンにライブ映像を投影したり、秋葉原で買った機材を組み合わせて「手持ちカメラ中継」したり。教室をライブハウスに見立て、機材調達や予算調整、設営から運営設計までを考えたり。余談ですが、学園祭には当時デビューしたばかりだった安室奈美恵さんに来ていただいたりもしました。

仕掛ける楽しさを経験して自分の裏方志向を確信するとともに、苦楽を共にして連帯感をともなった仲間の価値に気づけたのもこの頃の収穫でした。単にプロジェクトを進めるだけでなく、意見をぶつけながら徹夜したり喧嘩したりする中で、徐々にゴールに向かっていくプロセスの楽しさを知りました。私が仕事で積極的にスタートアップと連携しようとするのも、この頃の経験に関係しているのかもしれません。スタートアップに限らずですが、私は今でも「何をやるか」より、「だれと」「どんな時間を過ごし」「どんな関係を築けるか」を重視しています。

連帯感と仲良し感を混同しない

さて、連帯という言葉を辞書で引いてみると「二人以上の者が共同である行為または結果に対して責任を負うこと」とあります。そして連帯感は「意識のうえで他とつながっているという感情」。大切なのは、これらの価値と、盲目的な仲間意識とをきちんと区別することではないでしょうか。苦楽を共にしながら同じ目標に向かった仲間は、そのゴールや結果が何であれ、感情の繋がりが生まれます。逆にいうと、ただ仕事をこなすだけではその繋がりが生まれません。例えば企業がこのプロセスを抜きにして仲良し感を醸成しても本当の連帯は生まれないわけですが、そこを見誤っている企業も多いように思います。

目標と苦楽を共有することによって生まれた信頼感や繋がりが、その後の人間関係や仕事の機会につながります。これは独立した今、改めて強く実感し、気をつけていることです。そして学生時代のエピソードに結びつけるならば、華やかな表舞台ではないところで共有した苦楽は、一層の信頼感を生むようにも思います。

私の会社kipplesクレドにも「価値観に真摯となる:自身の価値観と信念を大事にする 同様に相手の信念を尊重する 意志を表明し、責任を持つ」と定めました。お互いの意見をぶつけあい、やりたいことを尊重しつつも、プロフェッショナルとして折り合いをつけること。やりたいことがあるならば、自分からアクションしてカタチにしていこうという考えをこめたクレドです。

副業やパラレルワークをする人が増えるこれからの時代は、組織に属することで得られていた連帯感を得にくい環境になっていきます。そんな中でも仕事を通じて得られる連帯感の意味を真に理解していれば、自分のやりたいことを実現しながら、本当の仲間を増やしていくこともできるのではないでしょうか。

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次回は越境に目覚めた大学編(の予定)です。

<気づいたら「個人内多様性」を獲得していた自分が、今までのキャリアでやってきたこと>
第1回:「誘われ力」を磨いたバンド時代編
第2回:「仕掛け人」として「連帯感作り」に目覚めた学園祭編
第3回:音楽が未知の世界へ飛び込む楽しさを教えてくれた
第4回:本格的に「デジタル」に目覚めた大学時代編
第5回:ベンチャービジネスとの出会い編
第6回:モラトリアム卒業編


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