投資を考えてみよう 日経電子版で学ぶ新社会人の基礎⑰
頑張る新社会人を応援するため、日経電子版をまだよく知らない方にも分かりやすく、記事の紹介に加えて仕事に役立つ知識をお届けします。
近年、ネット証券の普及などを背景に、若い世代でも急速に投資への関心が高まっています。個々の企業への投資やFX、仮想通貨などへの投資となるとまだまだハードルが高いですが、積み立てなどの長期投資は初心者でも始めやすいです。
貯金がいざという時、あるいは5年、10年先への備えであるとすると、積み立て投資はもっと先への備えになります。生活費を支払ったり、貯金をしたりしてもまだ多少余裕がある、という方は投資も考えてみてはいかがでしょうか。
1.つみたてNISAを使ってみる
最近、テレビや雑誌、ネットなどでよくするキーワード「つみたてNISA」。簡単にいえば、投資信託を積み立て方式で買う際に、税金がお得になりますよ、という制度です。
1年間で40万円(1カ月換算で3万3333円)を上限に買い付けた投資信託について、分配金や譲渡金が非課税になります。
1.1そもそも投資信託って?
そもそも投資信託ってなんでしょうか。
通常の株式投資は自分でどの企業の株式を購入し、いつ売却するかなども自分で決めます。一方、投資信託は出資者から預かった資金をファンドマネージャーと呼ばれる人が運用します。いわば「プロに運用を任せる」仕組みです。
投資信託を選ぶ、ということは誰に運用を任せるか決める、ということです。例えば日経平均株価など株価指数と同じような値動きをするもの、国や地域に焦点を当てたもの、AI、5Gなどテーマに焦点を当てたものなど様々な種類があります。国債など債券と組み合わせたものもあります。
大きく分けると、株価指数に連動するインデックス型とプロが銘柄を選別するアクティブ型の2種類があります。インデックス型は手数料が安いため、つみたてNISAに選べる投信が多いです。アクティブ型は手数料は高くなりますが、ファンドマネージャーの能力が高ければ、インデックス型よりも多く資産を増やせる可能性があります。
日経電子版「マネーのまなび」では投資関連のニュースや役立つ知識を紹介しています。以下の動画でも投資信託について学ぶことができます。
1.2つみたてNISAのメリット
さて、つみたてNISAですが、買うことができる投資信託の銘柄が絞られています。
ざっくりいえば①買うときの手数料がかからない②運用がうまくいったときの成功報酬が安いという2点です。なので、選べる銘柄の傾向としてインデックス型が多くなります。
年40万円以内の投資信託をつみたてNISA口座で積み立てれば、そのお金が生んだ利益や、売却したときの利益が非課税になります。通常、株式関連の利益には20%程度の税金がかけられますので、かなりお得になります。
さらに積み立て投資のメリットが2つあります。
1つは相場の上下に左右されにくい点です。これから20年間決まった額を投資するなかで、株価は上がるときもあれば、下がるときもあります。上がる時に投資信託を売れば利益が多く出ますし、下がったときには同じ金額でもより多くの信託報酬を買うことができます。そのため、初心者でも始めやすいのです。
もう1つは利益を再投資する点です。たとえば毎年10万円投資するとします。1年目はその10万円を元手に1万円の利益が出た場合、2年目には次の年に振り込む10万円と1年目の10万円、そこに利益の1万円を合わせた21万円が元手になります。これを複利効果といいますが、投資を繰り返すことで総資産が膨らみやすくなります。
新社会人の皆さんがいまから積み立て投資を始めれば、20年後には大きな資産になっていることでしょう。つみたてNISAはその入り口と考えていいと思います。
2.自分で「年金づくり」をする
普段、年金保険料は会社から給料が振り込まれる際に天引きされてますから、あまり年金について考えることはないかもしれません。ただ、積極的に自分で「年金づくり」をすることで、お得に資産づくりをできる仕組みがあります。
それが「確定拠出年金」です。普通の企業年金は「年金としていくら払いますよ」ということが決まっている「確定給付年金」ですが、確定拠出年金は逆に「月々いくらずつ払い込みますよ」の方が決まっている年金制度です。
企業が主に資金を拠出する「企業型」と個人が拠出する「個人型(iDeCo)」があります。会社によって制度が違いますので、自分の勤め先であればどの制度を使えるか、確認しておきましょう。企業型でも、個人が一部拠出する、というケースもあります。
この制度の最大のメリットは「投資なのに、年金と同じように税金が返ってくる」ということです。制度としては「税金を安くするから、自分で将来に備えてね」というものだと考えていいでしょう。月3万円拠出するとすれば、自分の所得から36万円引き、その金額が課税のベースになる、いうことですから節税効果が高いです。
一方、デメリットは「年金なんだから、60歳まで引き出せない」ということです。投資信託であれば、いざというときに解約すればお金は帰ってきますが、こちらはあくまでも年金としてしか使えません。気をつけましょう
投資はリスクがある、というのは当然ですし、自分の生活を傷めてまでするものではありません。ただ、銀行口座に預けておく場合と投資をした場合、40年後には資産に大きな差がでます。国が用意している制度を活用し、お得に資産づくりをすることも考えておきましょう。
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