なぜみんな同じ顔をしているだろうか?—浦島太郎ニッポン(中)
韓国は美容整形大国。 韓国の女優って、みんな、顔が似ていると思いませんか?整形している人が多い、男の人も、女の人も。この韓国の美容整形の技術のノウハウを移転したのは、実は日本の美容整形外科医だった。 大阪の美容整外科医が、日本の美容整形ノウハウを韓国の美容整形業界に教えた。その方法が、現在にも継承されている
だから、みんな、同じ顔になった
日本からノウハウを伝授されたあと、韓国の美容整形業界は韓国人にあった独自のノウハウ開発をおこなわなかったので、韓国の人の顔はみんな同じ顔になった。日本の美容整形クリニックから教えられた「美人顔の黄金比率」や方法論をずっとバイブルにしてきたから、韓国で美容整形した人の顔はみんな同じ顔になった
1 なぜ人は変われないのか?
かくのごとく、人や企業はともすれば成功体験したやり方を繰り返す。一度成功した方法を変えられず、繰り返してしまう
前例踏襲
前に倣って繰り返す
だから、同じようなモノ・コトになる。一度たまたまうまくいったことを繰り返す。うまくいったとしても、それはいつか世の中からズレていく、合わなくなっていく。社会・市場など事業環境や世界情勢や人口構造や法制度や価値観が変わっていることを調べたり、理解していたとしても、前と同じようなことをしようとする、繰り返そうとする。そして失敗する。変わらないのではなく、変えない
変えないといけないのに
変えなかったり
変えなければいけないことに気づかず
変えない
たとえば日本のコンテンツ産業。世界の人は日本のアニメ、マンガに注目する。それが目当てに、日本に来る世界からの観光客が多いのは周知の事実
国もコンテンツ産業は大切だと考えて、20年以上前からアプローチしている。しかし同じような計画、施策の繰り返しで、大きくは変わっていない
日本のコンテンツ産業は大きい。世界的に大きな市場に成長しているが、日本は昔とあまり変わらず、同じような計画や施策がつづき、時代にアップデート、アップグレードできていない
気がつけば,
浦島太郎になりかけている
世の中の状況変化に自らを変えない。社会・市場変化の表面的な事柄は知っているが、その本質をつかんでいない。だから自らが提供すべき社会価値やお客さま価値を再定義して、自らの事業・ビジネスを再構築しないといけないが、前のまま昔のままで止まっている。自らが世の中からズレていること、機能不全になっていることに、多くの企業・人は気がついていない。だからこうなる
コンテクストのないところに
コンテンツは生まれない
コンテクストが変われば
コンテンツは変えないといけない
2 浦島太郎のニッポン
平成の30年はすっぽり「失われた30年」だった。令和に入ってコロナ禍となった。令和2年3月の緊急事態宣言から移動制限となって、日本は物理的、精神的に止まり、多くの人や企業は思考停止した。コロナ禍3年が経ち、昨年5月に5類に移行して、コロナ禍3年が無かったかのように
コロナ禍をやめて
コロナ禍前に戻ろうとした
しかし戻った先は、コロナ禍前ではなかった
ニッポンは浦島太郎になっていた
コロナ禍の3年が無かったかのように、ニッポンは、どこに戻ろうとしているのか?戻ろうとしているコロナ禍前社会は、どんな社会だったのか?
バブルが崩壊した日本企業は、ターゲットをしぼり、選択と集中した。多くの企業は、経営戦略や事業戦略に、「ターゲット」とか「選択と集中」と書き込んだ。アメリカで成功したといわれた経営戦略を真似た。これで、日本は元に戻れるのではないかと飛びついた
それで、どうなった?
◆ターゲットをしぼって、選択と集中して、市場が小さくなった(①)
◆ターゲットをしぼっていくなか、市場全体が見えなくなり、需要の構造変化を読み違い、新たな変化・需要を見失ってしまった (②)
◆海図や羅針盤を持たず、暗闇のなかをあてずっぽうに漂流しているうちに、コロナ禍となって、ビジネスゲームが変わって、ついには市場が見えなくなった(③)
なにが、課題だったのか?平成時代の「失われた30年」以来のニッポンは
製品・モノから、発想するようになった
研究開発・商品開発部門が製品をつくり、開発部門から、製品を「さあ、売ってこい」と営業に渡す。製品・モノから発想して、売れる市場・お客さまを探すようになって
企業と社会・市場の距離が
どんどん離れていった
製品・モノを起点に発想するようになって
これを、どこに売ったらいいの?
ターゲットは、どこだ?
じゃ、ここをターゲットに売ってみようと
「適当」になった
製品・モノから発想して、追いかけるようになって、市場から、発想しなくなって
市場観がにぶってしまった
3 浦島太郎は、現在、どうなっている?
◆ 戦略は過去の延長線上で、市場実態にあっていない
◆ 戦略は現実と乖離した、実現不可能な夢のような漠然としたものが多い
◆ 戦略は社会・市場の本質を読み解いたものとならず、表層的で対処療法
◆ 技術と社会がつながらず、捉える社会課題がズレている
◆ 社会・市場・生活者の本質・課題をつかむ力が落ちている
◆ 組織の細分化が進み、組織間・プロセス間の情報交換が弱い
◆ コストダウン・IT化で要員が効率化され、組織と組織の対話の場や
機会が減り、意思疎通がとれなくなり、情報が淀む
◆ 組織のなかの対話の質量が低下している。世代間の対話も減少・
世代間で、「意味分からん・訳わからん」と、会話が成り立たない。
ソトの異なる新たな人との交流が減って、ウチ志向が強まる
モノ・コト・サービスが売れなくなった
政策・施策が的外れになった
なぜ、そうなった?
社会が求めるものと、違っている
社会が求めるものが、大きく変わった
それに加えて
企業、組織の社会をつかむチカラが落ちている
創造力・戦略力が落ちている
思考・行動パターンが対処療法、過去の延長線上に終始している。
目に見えている現象である「問題(trouble)」にとらわれ、その原因である「課題(problem)」をつかめていない
プロダクトアウトばかり
製品・モノから発想する
供給者の視座から、社会・市場を見ている
逆である
市場から発想する
順番が違っている、主語が違っている
見えているものは、見えるが
見えないものが、 見えない
なぜそうなったか?
組織のなかの物語や経験や記憶が共有されなくなった
先入観で、真実を見えなくしている
固定観念にとらわれ、現在が見えなくなっている
これからどうしたらいいのかは、次回に考える
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