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星条旗をいろいろな所で観たーアメリカから日本を観る⑤(最終回)

トランプ2.0は、アメリカ第一、アメリカファーストを全面に押し出す。それはおかしいと騒ぐ人も多いが、その国のトップが自国重視を唱えることって、そんなにおかしいのだろうか?自国を守るための戦略をうつのは当たり前ではないか?むしろ自国以外の国を利するような政策を唱えたら、自国民はどうだろうか?それこそおかしいと思うのではないだろうか?それとも、そんなの関係ないと思うのだろうか?


1   星条旗をいろいろな場所で観た

トランプタワー

アメリカで国旗、星条旗をよくみた。ダウンタウンだけでなく、都市から都市につなぐ道路を走る車からも、国旗をよく見た。会社や工場や店舗に、巨大な国旗が掲げられている。国旗と並んで、州旗がはためている場合もある。ここまで国旗を街にみかける国はそうそうない、国旗が日常である

ニューヨーク市消防局

星条旗は、赤7本と白6本の13本の横縞と青地に、50の白い星のデザインは、世界でもっとも有名な国旗のひとつであるが、アメリカ国民は

それは日常の風景で
国を普通に意識している
国を普通に愛している

一方日本では、国旗は「普通」のものではなく、祝日や儀式に掲揚する「特別」のものだった。国民の祝日を「旗日」と言い、 「日の丸」を掲げて祝う日だったが、いつか揚げなくなった。学校の日の丸を見るのはオリンピックのメダリストの表彰式や国の行事くらい。逆に、日常に日の丸を掲揚していたら、変に見られる

あの人、古いね
あの会社、変やね

日の丸は国旗なんだろう?という人までいる。国旗掲揚・君が代斉唱をするようなイベントに対して、愛国心などといったり、戦争を連想するから、イヤやとか、国旗を掲揚する・しないの議論があった。いつからか、そんな議論が日本から減って

日の丸を意識しなくなっている

2 アメリカは州があり、合衆国がある

はじめて都市を訪ねるとき、歴史・文化資料館にいく。ニューヨークでも、ヒューストンでもオーステインでも寄った。アメリカの歴史の前に、州の歴史や州の産業経済を、丁寧に説明されている

州があり、国がある

テキサス州立歴史博物館(オーステイン)

アメリカ合衆国の国名はUnited States of Americaの和訳であるが、「合衆国」とはなにか?合州国と書くべきところを合衆国と誤って表記したとか、「合+『衆国』」で、合わさった衆(多数の)国(state=州)だとか、『合衆=United』+国と考える所説あるが、アメリカ大統領の州別の選挙戦を見ると「州があって国がある」という当たり前のことを認識されられる

州ごとに「予備選」や「党員集会」と呼ばれるものを開き、11月の本選の党候補を選び、50州とコロンビア特別区の人口に割り振られた「選挙人」538人のうち270人の支持を得た候補が当選する。選挙人は州の有権者の投票結果に従う。それがアメリカ大統領の選出法である

アメリカは州があり、州が合わさって国がある

イタリアもそうである。ローマ、フィレンツェ、ヴェネツィア、ミラノ、ナポリなど都市があり、国がある。首都ローマにだけ人が集まっていない。イタリアは共和国である。それぞれの都市にそれぞれの都市の個性があり、それぞれが独立して、その都市のなかで経済が循環している。
 その都市で生まれ、その都市で学び育ち、その都市で暮らし働く人が多い。首都ローマだけに人が集まってはいない。イタリア料理も、都市ごとに料理はちがう。都市ごとに気候が違い、都市ごとの食材をつかって、そこで暮らす人のための母の料理だから、都市ごとにイタリアの料理は変わ

国際都市ニューヨークだけがアメリカではない
ニューヨーク以外の都市が集まって、GDP1位でありつづけている

ヒューストンのあるテキサス州は、米国で2番目の経済力を持つ州であり、テキサス州が独立したら世界8位の国になる。テキサス州には、世界最大のエネルギー企業であるエクソンモービルの本社がある

アメリカには、テキサス州のヒューストンだけでなく、ロサンゼルス・シカゴ・サンフランシスコ・ボストンなど、ニューヨーク以外の多種多様な都市がアメリカを育てている

マイクロソフトとアマゾンの本社はシアトル、グーグルの本社はシリコンバレー、ウオルマートの本社はベントンビル、メタの本社はメンローパーク、有名な企業がニューヨークに集積しているのではなく、アメリカの様々な都市に本社を構え、社員は様々の都市で住み暮らし働いている

オンライン・リモートワークが普通になっているから、都市間に人が分かれていても支障はない

3 日本は東京があり、国がある

一方、日本は東京一極集中がさらに加速している

東京は人を集めつづけている。人だけではない政府や官公庁や関連機関やマスコミ、企業本社に業界団体の本部など、ありとあらゆるヒト・モノ・コト・情報が東京に集まる

しかし戦前までは、東京の人口が必ずしも日本一ではなかった。広島、愛知、新潟、石川、大阪、北海道が、東京よりも人口が多かった年もあった

ある一本の法律がその流れを、変えた

昭和16年9月、戦時下の日本は、「帝国国策遂行要領」を策定して、国家の頭脳機能を東京に集めると命じた。国家の頭脳機能とはなにか?経済の中枢管理機能、情報発信機能、文化創造機能の3つは、東京で行うから、東京以外の地方ではやってはいけないとした。
戦争遂行のための臨時避難的政策が拡大解釈して、戦後もつづき、巨大都市東京を産んだ(堺屋太一氏談)

note日経COMEMO(池永)「また東京一極集中に戻っている」

84年前の法律が「東京一極集中」をつくりあげ、その不均衡を加速させ、現代日本をまだ支配している

なぜ東京だけ、人が増えつづけるのか?
なぜ東京だけ、人が集まりつづけるのか?

戦後日本、全国から東京に、若者が移動した。高度経済成長して、なんども浮き沈みしつつも右肩上がりしてきたが、失われた30年に入った。子どもが減り、高齢化が進み、人口が減って、消費市場が縮み、生産人口が減った。仕事が減った地方から仕事のある東京に人が移動して、日本の富が東京だけに集まる。日本での「選択と集中」が進み、東京に人口集中が進んでいった

note日経COMEMO(池永)「また東京一極集中に戻っている」

東京一極集中というものの、東京の中身も変わりつつある。東京は、これからどうなっていくのだろう?

東京は、ニューヨークのような「コスモポリタン」となって、東京で活躍している人は、日本人とは限らなくなり、日本人以外の世界の人が活躍する都市になっていくかもしれない

そんなこと、ありえないという人もいるだろうが、現代のニューヨークもそう。ニューヨークにいる人がアメリカ人ばかりかというと、そうではない。世界中から優秀な人たちが集まる都市でありつづけている。東京もそうなりつつあり、これからさらにそうなっていくのではないか

東京は国際都市という言い方よりも、世界の金持ちや儲けたいと考えている人たちが集まり、強い者が生きていく都市になっていくかもしれない。そのコスモポリタン東京の共通言語は英語となり、DX・AIを駆使した情報リテラシーのワークスタイルが求められる都市となる。そのコスモポリタン東京で活躍している人は、現在の東京の人とは限らない。そんな潮流のなかで、地方はどう考えたらいいのか?

日本は地方創生に再度チャレンジする
法律一本で、東京一極集中が生まれたように
地方が変わらないとはいえない

4 日本は日本の独自性を発揮する

ともあれ
トランプ2.0が猛スピードで動き出している
アメリカ第一、アメリカファーストを全面に
政策が日々発信される

しかしアメリカの代替は
そう容易(たやす)くできるわけではない

軍事だけでなく
技術や金融でのリーダー役の代替は

その前に、世界は
いったん国際協調の前提を
整える意味で
自国自立主義を構える
必要があるかもしれない

アメリカの同盟国だった
ヨーロッパ諸国や日本や韓国などは
自国だけでは自立し得ていないこと
自覚しなければならない

アメリカが同盟国に
軍事費の負担を求めるのも
もっとも

トランプ大統領は
中国との関係、北朝鮮との関係を
模索している

トランプ大統領は
中国や北朝鮮を重視 しているのではなく
事実上の尊重をしている
なにを?

中国の社会経済力、技術力
北朝鮮の核、ミサイル技術

すなわち
認めているというスタンス

関税議論は
中国に、対等な貿易態度
を求めているにすぎない

タダ乗りやパラサイト は
許さない、と

トランプ2.0による世界変化に対して
日本は「やさしい日本」をめざすと言っている

日本は大丈夫か?
マインドによる自滅をしない限りは
日本は大丈夫

アメリカはアメリカ
日本は新たな世界の新たな枠組みのなかで
何ができるか?

日本は日本
アメリカのトランプ劇場に右往左往しないで
日本の独自性を発揮することが
求められるのではないか

そんなことを考えながら
ニューヨークから日本に帰った


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