税金って返ってくるの? 日経電子版で学ぶ新社会人の基礎⑯
新社会人の皆さんも、少なくとも2回は給料が振り込まれたのではないでしょうか。そして税金や保険料って高い!と感じる人もいると思います。そこで考えるのが「取り戻す方法」です。
ネットで検索してみると、「節税」という言葉がたくさん出てきます。でも、会社勤めをしていると、企業や個人事業主のように「経費」を活用するのは難しく、節税策も限られます。それでも、覚えておくといいポイントがいくつかあります。
1.勤め人の味方「年末調整」
1.1年末調整とは
企業に勤めている人であれば、年末になると会社から「年末調整」の書類を渡されます。ここに記入することで、多少の税金が返ってくることになります。
そもそも、所得税は源泉徴収というかたちで、「おおまかにこれくらいの所得があるでしょう」という基準をもとに毎月徴収されています。ただ、年末になって「実際に1年間でこれくらいの所得がありました」というのがわかりますから、多く取り過ぎた分については返しますよ、という調整が必要になります。これが年末調整です。
一般的には、会社に書類を提出すれば対応してくれますので、忘れずに記入しましょう。
1.2主な所得控除
税金がかかる「所得」は給与明細の「控除」ってなに? 日経電子版で学ぶ新社会人の基礎⑥でも紹介したとおり、単純に会社が支払う給料の総額ではありません。保険料や医療費など、支出せざるを得ないお金は収入から控除され、引き去り後の所得に税金がかかります。
企業に勤めている人であれば、個人事業主の経費にあたる基礎控除を収入から引き去ります。本やスーツなど「これくらい仕事関連で使いますよね」という扱いです。
今年から基礎控除の額が基本は48万円に変更されました。
また、配偶者がいる人は、相手の所得によりますが、配偶者控除を受けられる可能性があります。
1.3保険料に関する控除
生命保険や地震保険なども上限はありますが、所得控除を受けられます。厚生年金など社会保険は全額が所得控除になります。
基本的に企業勤めなら年金は天引きされてますので、会社の書類に基づいて処理すればいいです。ただ、国民年金については、学生時代に支払っていたか、をきちんと確認しておきましょう。
所得に応じて払う税金と違って年金は20歳から保険料を納付することになっています。ほとんどの場合、親が代わりに支払っているか、学生納付特例という制度を使って、納付を猶予してもらっているか、どちらかになります。前者なら問題はないのですが、学生納付特例を使った場合、10年以内に追納が必要になります。
ただ、追納制度を使った場合も、やはり社会保険料の所得控除の対象になります。もし納付した場合には忘れずに年末調整で申請しましょう。税金の還付を受けることができます。
2.確定申告とは
確定申告でも税金が還付されることがあります。確定申告は個人事業主にとっての年末調整のような仕組みで、会社員はあまり使うことがありません。ただ、状況によってお得になる場合があります。
例えば住宅ローン。2回目以降は年末調整でも対応してもらえますが、初回は確定申告が必要です。
ローン残高の1%が税額から控除されることになるので、かなり大きな金額になります。家を建てたり、マンションを買ったりした場合には忘れずに確定申告しましょう。
近年、ふるさと納税の普及や災害からの復興への支援の広がりといったかたちで寄付に興味がある人も増えてきています。自治体や認定NPOに寄付をしたという場合でも申請を忘れずに。
寄付額が2000円を超えると寄付金控除を受けられます。
3.ふるさと納税を使ってみる
寄付金控除でいえば、先ほども少し触れましたが、ふるさと納税もそれにあたります。
地方自治体にふるさと納税というかたちで寄付をした場合、2000円を超える部分については所得税や住民税が控除されます。逆にいうと実質的な負担は2000円ということになります。そのうえお得に返礼品がもらえるということで利用者が急増しました。
さらに企業に勤めている人は、寄付した自治体が5カ所以下の場合に「ワンストップ特例制度」が使えます。自治体が送ってくる書類に記入して返送すると、確定申告をしなくても税金が控除されます。
換金しやすい商品や寄付金額に対して価格が高すぎる返礼品が批判を受け、返礼品が寄付額の3割以内に制限される、など制度を巡って様々な課題も出てきています。ただ、自分の生まれ育った町やゆかりのある地域、面白い取り組みをしている自治体などを直接応援できる制度ですし、返礼品を調べるなかで様々な特産品や地域の特性を知るいい機会にもなります。せっかくなので、利用してみてはいかがでしょうか。
もちろん税金は国や自治体、社会を動かすための大切な原資です。ただ、自分が支払っているものや使っているサービスをしっかり把握することで、払いすぎている税金を還付してもらうことができます。しっかりと勉強しておきましょう。
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