複業研究家 西村さんに「働き方×複業」について聞いてみた!
名刺を起点としてビジネスパーソンを繋げる『Eight』で、この度「Eight ONAIR」というビジネスイベントメディア機能をリリースしました。このコロナ禍で、人と出会って学びを得たり、コラボレーション機会を模索することは難しくなりました。代わって出会いの場はオンラインへ移行しつつあります。Eightでもオンラインでの学び・出会いを支援するのがONAIRの狙いです。
新機能リリースを記念し全7回にわたって「働き方最前線:フロントランナーのビジョン」のテーマで私日比谷と、新しい働き方を探究・実践されている皆さんとの対談をした様子をかいつまんでご紹介していきます。
文末には本シリーズの他の対談をまとめた記事へのリンクをご案内していますので、ご興味のある方はぜひそちらもご覧ください。
西村 創一朗さんに教わる「働き方×複業」のフロンティア
対談の最終回を締めるゲストは、株式会社HARES CEO、複業研究家の西村 創一朗さんです。この数年間の働き方の変化の一つに複業解禁の流れがありました。復業をとりまく世の中の捉え方は大きく変わってきていますよね。黎明期から働き方をご自身で開拓されてきた西村さんに、副業を始めるにはどうすればいいのか、複業経験をキャリアに活かすコツなど、複業にまつわるあれこれを聞いてみました。(以降の本文では「複業」「副業」を厳密に使い分けず、「複業」と表記しますね。)
自分のやりたいことを実現する手段がたまたま副業だった
西村さん、はじめから復業をやりたいと思っていたわけではなかったそう。元々新規事業をやりたくて2011年に新卒入社した会社では法人営業に配属。入ってみて分かったのは、新規事業部門にいけるのはごくごく一部の人という事実… これではいつまで経っても新規事業部門にはいけない。。転職も考えたそうですが、何もやりきらないまま転職するわけにはいかない!と考え方を変え、「プライベートの時間を使って新規事業につながることができないか」と考え始めたことが、のちの復業に発展したという経緯だそうな。隙間時間を使ってウェブサイトの立ち上げ&ライティングなど色々挑戦していくうちに、その本気度が伝わって新規事業部門に移れたそうです。
自分がやりたかったことと今やっていることのギャップを埋めることができた西村さんは、その成功体験を踏まえて「副業の素晴らしさ」を他の人たちにもに薦めたそうなんですが、なかなか賛同してもらえなかったとのこと。当時はまだ「複業」という言葉もまだ珍しいし、複業禁止の会社が96%を占めていました。「複業いいよ!」と伝えてもみんなが「そうは言っても、うちの会社は禁止だし。。」と答える状況。これは社会的損失だと思った西村さんは、2014年頃から「複業研究家」と名乗り、複業の素晴らしさを広める活動を始めます。
日本の複業解禁の流れ、今の複業事情
日本で複業に関する扱いが変わったのは2016年からこの5年だったと思います。2016年1月、(新しい働き方に柔軟なIT企業ではない)メーカーであるロート製薬が副業を解禁。また当時の内閣が働き方改革に着手し、2018年には原則複業禁止から原則複業容認となりました。
とはいえ実情としては複業をしたくても受け入れ先がなかなかない「供給過多」な状態が続きました。しかし、昨年のコロナ禍によって全国でオンライン化が進み、受け入れ先も増えつつあるとのこと。地方の中小企業におけるDX促進案件などでは、移住&転職人材でまかなうのではなく、都市部と地方の他拠点滞在型で、複業を通じて取り組むほうが圧倒的に双方の負担が少なく、メリットが生かせるような状況も生まれています。多くの人は会社勤めで、そちらが本業であり拘束時間も長いわけで、しかしそれでも複業したい人にとっては、「複業の時間と場所の制約」がなくなりつつある昨今、チャレンジしやすい環境ができています。
副業する人に気をつけてほしいこと、本業の組織との付き合い方
西村さんに、複業を始める前に気をつけてほしいことを聞いてみました。すると本業・複業を問わず働く人として大切なメッセージが。
まずは自分のGIVEできることは何かを考え、TAKEを先に考えないこと。多くの人が、「(気軽に)収入を増やすこと」を複業の目的として挙げるそうです。お金を稼ぐことが悪いわけではないのですが、ただ、「ついで」感が強かったり、お金に対する意識が先行しすぎてしまうと続かないとのこと。これは納得。復業というと、サブ的な、悪く言えば「小遣い稼ぎ」的な軽い気持ちで捉えてしまうかもしれませんが、ビジネスはビジネス。自分に求められていることや提供できる価値をちゃんと考えましょうというのが一つ目の注意点です。
二つ目は、本業の人に報連相しましょうというもの。できれば複業から得たものを本業に還元することまで考えておくと良いですね。複業解禁になって、就業規則としては禁止ではないものの、コソコソやられていては本業で一緒に働いている人も応援しにくくなるというもの。複業の目的や学びを積極的にシェアして応援してもらえる環境を作っておくとよさそうです。
周りに還元できる人が副業、越境人材として活躍していく
最後に、皆さんへのメッセージ、西村さんの今後の展望についてコメントをもらいました。
ひと昔前まで複業のイメージは「副収入やお小遣いを得る手段」でした。YouTubeなどネット配信などで簡単に稼げるといったことも言われていますが、手法はともあれ、「稼ぐこと」はビジネス。プロ意識を持ちましょう。また、複業で得たことを周りにシェアするなどして周りに良い影響を与えていけると、本業も複業もうまくいくのでは。
本業を辞めずに自分のやりたいことができるのも複業のメリットですよね。いずれの働き先とも、長くつきあい続けられる良好な関係を築いておきたいものです。社会人として当たり前と言えば当たり前なことなのかもしれませんが。
そして西村さんは今年、一般社団法人パラレルプレナー・ジャパンを設立されたそう。パラレルプレナーはパラレルキャリアとイントレプレナーを掛け合わせた造語。いわゆる越境人材が、イントレプレナーとして社内で活躍し、ひいては日本のイノベーションを推進していく、、というビジョンを持った組織だそうです。今後は複業実態調査などの活動を通して、さまざまな角度から複業推進などに取り組んでいくそうです。今後の動向に注目です。
このシリーズの関連記事たち
「働き方最前線:フロントランナーのビジョン」の対談は、全7回にわたって実施してきましたが、今回が最終回。過去の記事もぜひご覧ください。
第1回:株式会社オカムラ 遅野井 宏さん「働き方ד働く環境”」
第2回:インサイトフォース株式会社 山口 義宏さん「働き方×マーケティング」
第3回:TORiX株式会社 高橋 浩一さん「働き方×営業力」
第4回:&Co.,Ltd. 横石 崇さん「働く×働き方のエッジ」
第5回:Peatix Japan株式会社 藤田 祐司さん「働く×コミュニティ」
第6回:Voicy株式会社 緒方 憲太郎さん「働き方×個が輝く時代」
第7回:複業研究家 西村 創一朗さん「働き方×複業」(本記事)