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この時期に海外に行くということ(7)入国前PCR検査廃止がもたらす渡航再開の一般化

ここに書いていることは執筆時点(2022年8月)の情報であり、また私自身の経験した範囲でしかない点にはご留意頂きたい。本稿の内容をもとに渡航したことによる損害等についてはその責任を取ることは出来ず、渡航にあたっては各自の責任においてこの情報を参考にして頂けるなら幸いである。また、末尾には、これ以前の6回分へのリンクもあるので、参照して頂ければと思う。

2021年3月から、新型コロナウイルスによる海外渡航制限の実情について、実際の渡航経験に基づいて7回にわたって書き続けてきたが、それもようやく終わりが来ることになりそうだ。

この間、8回の渡航を行ったが、2022年の年頭には日本到着空港付近のホテルで事実上強制的な長期滞在を強いられるなど、かなり厳しい入国制限があった時期も経験した。その後、ワクチン接種の普及が進んだことや日本以外の諸外国での渡航制限の緩和が進んだことなどをうけて、日本でも6月以降大きな入国制限の緩和が行われた。また当初はほとんど紙の書類での手続きだったものが、特に今年に入って、かなりの部分の手続きがオンラインでも可能になった。

残る大きなネックであった入国前のPCR 検査について、日本政府が指定する種類の3回のワクチン接種を条件に9月7日から緩和・撤廃され、検査の必要がなくなる。

接種の条件を満たさない人については引き続き PCR 検査の必要性は残るが、多くの人にとってはほぼ特別な手続き等を必要とせずに入国できることになる。これにより、検査で陽性が判明したことで入国・帰国できないという事態もなくなることになった。

もっとも、この制限緩和によって、国内で新型コロナウイルスの流行に拍車をかけるようなことがあれば、再び規制が強化される可能性もないとは言えない。各自の責任での健康管理が一層重要になる。

これによって、長らく問題とされてきた、陰性証明書を厚生労働省指定のものへの転記を求められがちだった点も終止符が打たれることになる。早い人であれば年初のころから現地検査機関の陰性証明書のみで、厚労省指定書式への転記を求められずに済んだ人もいるが、実際には最近まで運用上は指定書式への転記が求められるケースも少なからずあったようだ。

私自身も、6月のフランスからの帰国でも現地検査機関の証明書を出したところ、翻訳をつけるよう指示があってそのままでは通らず、結局は厚労省書式に転記してもらった。

今回、8月のエジプトからの帰国で初めて現地の書式(下記画像)のままでファストトラックのオンライン事前審査が通った。フランスの書式よりも分かりやすく厚労省の求める内容が記載されていたことも幸いしたのかもしれない。

これが可能になったのは、ファストトラックによる入国手続き書類のオンライン受付と事前審査が可能になったことが大きい。この仕組みになる前は現地空港での日本行き搭乗手続き時に示した陰性証明書が有効と認められないと搭乗拒否になるため、そのリスクを考えると、厚労省書式に転記された証明書を用意せざるを得なかった。

現在では、現地で検査を受け、発行された陰性証明書をファストトラックの審査に出せば数時間程度で結果がわかるため、仮に差し戻されても厚労省書式への転記をもらいにいく時間が取りやすい。

検査免除の条件を満たさない方と9/7より前に入国する方は、現地検査機関の発行した陰性証明書が審査を通過するとは限らないので、現地出発前72時間以降なるべく早い段階で検査を受け、証明書を取得後すぐにファストトラックの登録をして、もし差し戻された場合には検査機関に厚労省書式への転記を依頼し再申請する時間を見ておくとよい。

このために、念のため厚労省書式を印刷して渡航先に持参することも、入国に検査を要する方には引き続きおすすめしたい。

また帰国前PCR 検査が不要となるためには、新型コロナワクチン3回接種済の証明書のオンライン登録がファストトラック申請の際に必要である。日本政府の公式な接種証明アプリであれば、証明書を表示すると下の方に接種証明書を画像として保存するボタンがあるので、これを活用するとファストトラック申請に利用できる。

政府が提供するワクチン接種証明書のアプリはスマホに入れておくと安心だ。また、スマートフォンの故障や電池切れのほか、一部の国ではワクチン接種証明書を渡航時に提示することを求められる場合もあるので、紙でのワクチン接種証明書もあると安心だ。郵送や窓口でも申請できるが、一部の自治体は一部のコンビニのコピー機でワクチン接種証明書の交付を始めている。

実際に近くのセブンイレブンで発行してみたが、手続きは簡単だった。

このコンビニでの証明書取得も、ワクチン接種証明アプリの利用も、本人認証のためにマイナンバーカードが必要となるので、その点は注意が必要である。

ファストトラックは3月の導入直後には多くの課題を抱えていたが、下記の投稿で指摘した問題点の多くが、細かい改善の積み重ねで解消されていることは、関係者の尽力の成果としてお伝えしておきたい。

たとえば、MySOSをアプリで入れなくてもwebで対応できるようになったり、おそらく色覚に問題がある方のためと思うが、MySOSの青や赤の画面に「青」といった色名を文字で表示することが加えられたり、審査の受付も日本到着の16時間前から6時間前までに拡大された

空港内での動線も、「青」の画面の人とそうでない人を分けて対応するようになり、何度もパスポートや搭乗半券等の提示を求められることも解消されている。かなりの程度「あるべき姿」になっており、かつての日本到着時のストレスはない。今回は、羽田空港に朝に到着して、降機から税関を出るまでの所要時間が25分と、かなりコロナ前の状況に近くなったことは、かつてのストレスフルな帰国経験を思うと感慨深いものがあった。

新型コロナウイルスの世界的な流行が明らかになってから2年半以上が経過しているが、日本でもこの夏の第7波があったように、未だに世界でこの感染症が沈静化する見通しは立っていない。1度感染した人が別な変異種で再度感染することも普通に起きているようだ。

こうしたことからも、少なくても当面、新型コロナウイルスがなくならないことを前提に、感染防止対策や万が一の際の保険の準備なども含めて海外渡航に備えるなら、以前よりは多少面倒は増すが、慣れてしまえばさほど大きな負担にはならずに海外渡航をすることができるようになってきたと思う。

岸田首相が外国人入国者の受け入れ枠の拡大を発表したが、それ以前から、このところすでに日本に向かうフライトは半年ほど前から比べれば格段に乗客が増えている印象だ。

ひき続き、安易に海外渡航をお勧めする気持ちにはなれないものの、一方でいつまでも難しく考える必要はないとも思う。適切な対策と判断のもとに海外渡航の再開を検討しても良いタイミングは、もうすぐだろう。

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